自作原稿抜粋 第一回、東京家出の記ーーー17(最終章) 語りにくい部分を先延ばしにしていましたので、大分空いてしまいました。 季節は冬になろうとしていた。 東京でも、僕は以前から通っていた新興宗教の集会に出た。 そこでは、バンドマンからやっと足を洗えた人が体験談を述べていて、僕は、スティッ... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 第一回、東京家出の記ーーー16 圧延所の仕事では、もう少し残業をしてくれないかと打診され、六時に仕事を終えてから、隣の工場で二時間働くことになった。 といっても、仕事の内容としては相変わらず、ラインのモーターの制御ボタンを押すことがメインだった。 ある日、休日出勤して、... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 第一回、東京家出の記ーーー15 池袋の駅に、何度か行った。 ある時、駅前で、早口で話しかけてくるキャッチセールスに遭った。 僕は、Bくんとの待ち合わせには時間があるし、話しを聞いてやるくらいいいだろうと思って、立ち止まって相手の話しを聞いた。 「お兄さんネ、ウチは××... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 東京家出の記ーーー14 僕とBくんは、バンドを創ろうと、本気になって、僕が雑誌に募集をかけた。 連絡先は、彼の家の電話だったと思う。 三組から連絡があった。 僕は、その内の一組と会った。 相手はテープを用意してきた。 Bくんも同席したので、その場(喫茶店... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 第一回、東京家出の記ーーー13 仕事にも慣れてきた。 本来、一時間の残業を含めて六時に終わりだった仕事も、もう二時間残業してくれ、と頼まれるようになった。 沖縄から出てきた出稼ぎの意味で仕事をしている中年の人には、よく訊かれた。 (出身地が思い込み間違いでした) 「*... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 東京家出の記ーーー12 毎日は規則正しく流れた。 朝に工場に出向き、昼に寮生に用意された弁当を食べる。 五十代くらいの食堂のオバチャンは愛想がよかった。 お茶は、四リットルのやかんから自分で汲んで飲む。 夕方5時。遅くとも6時には仕事を上がれる。 仕事を... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 『第一回、東京家出の記』ーーー11 次の日、朝八時から仕事に就いた。 体育館のような造りの工場だ。 体育館の八倍くらいの容積がある。 その工場が二つ、敷地内にあった。 僕が行かされた工場は、鉄を押して成形するところだった。 オレンジ色の鉄が、左奥の場所から出てきて、... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 『第一回、東京家出の記』ーーー10 僕は、就職活動をする。 僕の借りた(新聞屋さんが用意してくれた)アパートは、三畳一間のつくりだった。他に、小さな流し台スペースがあるのみ。 部屋の壁が薄いので、隣りの声が丸聞こえだ。 隣りの片方は、夜中に電話をながながとする男性。 「... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 『第一回、東京家出の記』ーーー9 杉並での生活にも大分慣れてきた。 まだまだ、哲学科の大学生の先輩の後について回るだけで手一杯だった。 所長と、どれだけルートを覚えたかを確認される行程に出た。 新聞屋の仕事の場合、次の配達先への地図というのが、ト(隣り)、とかY字とか... 2024.03.04 自作原稿抜粋
自作原稿抜粋 『第一回、東京家出の記』ーーー8 次の日、俺は、夕方に目覚めた。 ホテルのチェックアウトを過ぎた延滞料を払って、ホテルを出た。 もう、俺には余裕がなかった。 第一条件として、住み込み(寝るところ有り)で待遇してくれる所であれば、どこでもいい気になっていた。 求人情報... 2024.03.04 自作原稿抜粋