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『第一回、東京家出の記』ーーー8

 次の日、俺は、夕方に目覚めた。

 ホテルのチェックアウトを過ぎた延滞料を払って、ホテルを出た。

 もう、俺には余裕がなかった。

 第一条件として、住み込み(寝るところ有り)で待遇してくれる所であれば、どこでもいい気になっていた。

 求人情報の雑誌を買い、それを捲り、新聞配達の仕事に行ってみることにした。

 初心者指導します、と、その広告には書かれていた。

 欲は言ってられない。

 俺は、朝日新聞専売所の面接を受けた。

 電話で確認すると、中央まで出てきてくれ、という事だった。

 港区とかに憧れがあって、俺は、港区に行きたいが、と電話の相手に言ったが、田舎から出てきたような人が港区の区域の配達はできないだろうという答えで、俺は、杉並区の高円寺の専売所に面接に行った。

「そうか、夢が有るんだーーー」

 担当の専売所の人は、そう言って僕を歓迎した。

 面接、即決となり、その日から、僕は新聞屋の用意したアパートに住み込むことになった。

 屋根のある所というだけで、僕には有り難かった。

 二、三日後に母から大きな荷物が届けられた。

 当分の着替えと、ステレオカセットなどの僕が地元で使っていた品だった。

 いよいよ、東京での僕の生活が始まった。

*次話は、こちら→  『第一回、東京家出の記』9

*トップは、こちら→  『第一回、東京家出の記』1

コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >xml_xslさん
    ナイスを有り難うございます。

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