東京家出の記ーーー14

 僕とBくんは、バンドを創ろうと、本気になって、僕が雑誌に募集をかけた。

 連絡先は、彼の家の電話だったと思う。

 三組から連絡があった。

 僕は、その内の一組と会った。

 相手はテープを用意してきた。

 Bくんも同席したので、その場(喫茶店)で相手のオリジナルテープを聴いた。

 Bくんは、

「他には、ないのか?」

 と、ずっと相手に訊いていた。

 僕と相手は、帰る方向が一緒だったので、僕は、相手に打診して相手の家に行った。

 ご両親と別に、隣にマンションの一室を彼は借りていた。

 彼の部屋にいくと、ウルトラセブンのビデオがあった。

 全シリーズが揃っていた。

 彼は、ウルトラセブンに詳しかった。

 彼と別れてから、数日が経ち、Bくんが、僕に連絡してきた。

「おい! 大丈夫なのかよ。山雨(ホントは本名)。お前の目指してるフュージョンと全然ちがうぞ。ああいうのをサイケって言うんだよ」

 彼の音楽は、白鍵だけで、三度ずつ音が移動する伴奏が殆どの曲だった。

「山雨、どっちにしても、お前に任せるからな」

 そう言って、Bくんは電話を切った。

*次話は、こちら→  『第一回、東京家出の記』15

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >家出少女りえの掲示板さん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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