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『アリスの機関車』読了(追記あり)

 雨宮雨彦(あめみや あめひこ)さんの、『アリスの機関車』を、やっと読了しました。

アリスの機関車

アリスの機関車

  • 作者: 雨宮 雨彦
  • 出版社/メーカー: 鳥影社
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 単行本

 感想は、また明日、追記で書きます。

 味わいのある文章でした。

 今日は、もう寝ます。(読書とは関係なく、運動不足から肩こりでくたくただから)ごめんなさい。お待ちくださいね。(^。^)

 追記

 文体が、村上春樹さんのようなほんわか気分を感じる文体。

 例えば、村上さんの場合。

 仮の架空の文で表現してみると→『お盆もちかくなったおそらくこの年のうちでいちばん暑かったその日、ぼくは昼まえに起きだしてかるく近所を散歩したあとに缶ビールをキッチンのテーブルに置いてそれをときどき飲みながらスパゲッティーを茹でていたのだけれど、生憎トマトソースを切らしていることに気づいたのだった。』と、いうような文体が村上さんの文体だとすると、

 雨宮さんのは→『その日私は、モブスの街まで走らせる5812の圧縮空気を充填してから、一緒に乗るはずだったキトゥンの姿をホームに探しながらぎりぎりまで彼を待ってみたのだけど、結局彼は来なかったので、私はひとりで貨車を連結した5812を出発させることにした。』(以上、僕の作った架空の文)

 かなり、雰囲気が似ています。

 『~だけれど』という言い回しが村上さんの文章には多いのだけれども、雨宮さんのは、『~だけど』という言い回しになっていますが、雰囲気は近いです。

 この作品『アリスの機関車』では、主人公が女性で、主人公の一人称視点で展開されます。徹底した会話体(そんな言葉はありませんが、誰かに話しかけているような文体で、大別すれば、です・ます調)です。

 面白い特徴と言えば、登場人物が主人公のアリスに語って聴かせるショート・ストーリーがちりばまめられているところです。その話が、全部、登場人物ひとりひとりが作った、嘘話なんですが、読み手は引き込まれます。

 主人公アリスが、なぜウルフ炭酸水株式会社専用鉄道の機関士として雇われたのか、という謎が段々明かになってくるところは、ちょっとミステリー的でもあります。

 最後に、大きな事件が起こるのですが、何か起こりそうだ、と匂わせる伏線が最初から少しずつ出てきているので、読者に早い段階から疑問を持たせる(先を読みたいという興味を惹かせる)ところは流石です。

 雨宮さん、鉄道に詳しくて、一般の人が知らない蘊蓄も随所にあって興味深かったです。

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コメント

  1. 夕月琥珀 より:

    こんにちは。
    実をいうと私、読書のときディテールを気にする事ってあまりないんですね
    ですから、こういう視点で見ればまた違った楽しみ方ができると
    勉強になります。
    空気感や色彩感をもっと豊かに感じられれば―と思いますね。

  2. 岩上 智一郎 より:

     自分は、村上春樹さんの「ノルウェーの森」が一番好きな本です
     逆立ちしても、あのような作品は書けないだろうなって感じます
     客観的にこのような記事が書ける山雨さんは、すごいなぁ~と感心します
     自分の小説を読んでくれた時も、何で山雨さんはこんな風に書けるのだろうか…と、読んでいて感心し、また、感動しました
     いいところは見習いたいものです^^

  3. 山雨 乃兎 より:

    >琥珀さん
    今回の『アリスの機関車』、そして、雨宮雨彦さんが、一般に多い文体と大きく違っていたので、自然に文体に注意がいってしまいました。
    文体を、独自の文体を確立したら、それだけで評価されるだろうという評論家も居ます。
    ただ、硬くて判別し易い文体を使って、ストーリーを複雑に構築する小説家も居られますね。
    なかなか僕自身も、納得したと言える作品は書けてないような状況です。
    そうそう、自然とかを見たときに、より一層、美しいものを美しいと感じる繊細さを、プロの作家は持っているという話しも聞きますね。表現するときは、技術も必要だし。なかなか思う程には成長できません。自分のことです。でも、書き続けるというのも一種の修行になっているとは思います。
    お互い、創作をつづけましょう。
    また、お寄りしますね。(^。^)
    >岩上さん
    意外でした。岩上さんだったら、もっとハードボイルドなエンターテインメント小説が一番好きなのじゃないかな、と思っていました。
    僕の考察を褒めていただいて、恐縮です。こそばいです。(笑)
    大分、背伸びして熟語を使うところが有るので、実際の僕はそんなに大したものではないですよ。どっちかと言うと、論文的な文章を書くのが好きなんです。でも、志しとしては、「小説」で認められたいと常時思っている訳です。
    また、お寄りします。(^^

  4. sakamono より:

    この架空の文章の比較、おもしろいですね。さすがです^^。
    村上春樹さんの本は何冊か読んでいるので、なんとなく雰囲気が分かります。あ、そうそうこんな感じ、と思いました^^。

  5. 山雨 乃兎 より:

    >sakamonoさん
    村上春樹さんの場合、スパゲッティーとビールはよく出てくるので、いつでもこんな感じだったなぁ、と文章が浮かびますね。
    真似しても、村上さんほど洗練されてないと、駄目駄目になってしまうんです。だから、自分の小説で村上さんの文体を真似ることはありません。(笑)
    お褒めいただくと木に登ります。(笑)

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