藤原正彦さんの、『藤原正彦の人生案内』を読みました。
例によって、感想は追記をお待ちください。
追記・感想
数学者の藤原正彦氏が、新聞紙上で人生相談に回答した。その質問と回答を纏めた本。
普通の人とはかけ離れている数学者という、ご自身が仰有るところの無常識な人からの視点で、
相談に乗っている。
一般の人は、世間の常識に縛られて生きているので、藤原さんの回答が、別の角度からの斬新
なものであったので、好評であったりした。
しかし、全編を読んでみると、藤原氏のしぶとい人生に対する生き方、現代人が忘れがちにな
っている大切な価値観などにも行き当たる。
十代から六十すぎまでの10年ごとの年代の悩みが、項目として分けられて順に並んでいる。
私は、読んでいて、普通の人の生活と私自身の生活がかなりかけ離れてしまっているなぁ、と
感じさせられた。(投稿生活者というのは、日々の生業に追われる生活とはまるで違っているか
ら)
それにしても、人間、よくもまあ、これだけ様々な悩みを抱えているのだなぁ、と思う。
全体に多いのが、人間関係の悩みである。
・十代の悩み 「性格暗い」と学校で嫌われ に対しては、性格が暗い人は駄目だという世間の
風潮自体がおかしい、と、自己を肯定することを勧められている。
予備校に通って、何とか大学合格を目指す子が、親のためを思って、数ヶ月アルバイトもした
が、合格するかどうか不安で不合格だと親に会わせる顔がない、と悩む。そういう悩みに対して
は、勉学や資格取得のための勉強は、片手間にやれるものではなく、親に一時的に負担をかけて
でも永い期間集中してやらないと成果は出ない。甘く考えてはいけない、と回答される。
・三十代、四十代以降になってくると、嫁姑や夫婦間、子供の行動に関する悩みが多い。
夫は、嫁と姑の間のバランスをとる緩衝材になるべき、との持論も展開される。
子供に対して、本気で怒る夫のケース。ここでは詳しく書かないので、ブログ読者には分かり
づらいだろうが、親の言うことを無視した場合などは、しっかり叩くべきだと仰有る。しかも尻
を叩きなさい、と。それも、叩くのは小学校高学年になってからは望ましくない。自我が形成さ
れてくるから、とある。その頃までは、人格形成にとって重要な時期である、と。私も同感した。
その他、友人が訪問販売を始めて、むげに断れずに人間関係で困っている、とか、他人の些細
な言葉に傷つく、とかいった悩みもあった。
人生、実に色々な実際的な悩みがあるものだと思った。
藤原正彦氏の回答は、ときに質問者を突き放す。人生そんな甘いものではないよ、と。そして、
ときに凡人が思っていることと逆の回答をされる。しかし、全般的には良識のある骨太のご自身
の忍耐力、しぶとさに基づいた回答であった。