『安心ひきこもりライフ』読了(追記あり)

 勝山実さんの、『安心ひきこもりライフ』を読みました。


安心ひきこもりライフ

安心ひきこもりライフ

  • 作者: 勝山 実
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2011/07/30
  • メディア: 単行本

 例によって、感想は追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

 高校で不登校になって、そのまま社会にも出られなくなるパターンが、ひきこもりの場

合多いらしい。少なくとも著者はそうであった。

 類推するが、高校時代に酷いイジメに遭ったか、クラスメートから疎外されていたか、

などの理由があって不登校になったのだろう。

 私も現在、ひきこもりと似通った生活と言えるかも知れないが、読んでいて彼らと決定

的に違うのは私の場合、まだ人生を諦めてしまったわけではないということである。著者

は人生を挽回しようとは今はまったく思っていない。結婚しようとか、社会的成功を収め

ようとかの欲求を完全に棄てたようである。

 著者は、ひきこもり人生の途中から精神障害認定を受けて障害基礎年金をもらうように

するが、読んでいて、本当に精神障害者なのか、と首を傾げた。

 理解がない、冷酷だと言われるかも知れないが、私は鬱病という症状の、どう病状が辛

いのかがまったく分からない。また、この著者の場合、本当に鬱病なのかも私個人として

は疑わしく感じた。

 よくコミュニケーション力がないから社会に出られない、というが、それは社会に出て

からでも頭を打ちながらでも身につくのではないか、と思う。

 精神障害の場合、最もよくある原因が幼児虐待に逢った場合だろう。また、神経障害の

私のように過去には関係なく実際の症状があるので働けない、ということはある。

 著者が何故働けないのかが、本編を読んだだけでは分からない。

 まあ、それでも、精神障害によって働けないことは事実のようなので、無理して数ヶ月

の勤務をするよりは、障害基礎年金をもらって生きる方がベストだと思うのは思う。

 私の知人にも何人も精神障害の人が居るが、著者の場合と同様、家族が急き立てすぎで

ある。著者の場合も家族に責められることで精神障害を発症している。

 自分がどう動くのが理想なのかは、本人が一番よく知っていることなのに、それでも無

理しても就労が出来ない状態なのに上辺だけを見て家族が責めるのは間違っている。

 それをやるから、凄惨な事件にまで発展するのだ。

 在宅で金を弾きだそうとして、著者もアフィリエイトやせどりなどをしているが、著者

曰く、世の中に翻弄されているだけで全然稼げない、ということだ。

 そこで、著者のブログも見に行ったが、正直、あのブログではユニーク読者数を稼げな

いだろう。

 言うまでもなく、アフィリエイトは訪問者数が多くなくては成り立たない。

 もっと自分を立体的に浮き彫りにするブログでないと多数の読者は見込めない。

 小説らしきものも書いたが、駄文でしかなかった、と自身を振り返る著者だが、小説で

本気でプロになろうと思ったら、一発目に社会に出るのが無理だった、というようなこと

では無理だ。敢えて言うなら、無理だったなら無理だったで、その内面の気持ちを正直に

書くことだ。しかも長い研鑽を積んで、ようやく小説らしき文章が書けるようになるので

ある。

 読んでいて、この著者は何事に対しても、納得のいくまで取り組んだことがないアマチ

ャンのように感じる。

 本編のなかに実妹の子、甥との心温まるエピソードも出てくるが、甥が可愛いのは幼い

内だけであるということを忘れないように。

 全編を読んで思うことは、著者はオリジナルのTシャツを発売したり、著作も今回のを

含めて二作出版したりという行動には出ているわけだから、こういう形もアリだと思うし、

このまま突き進めばいいと思った。

 本編の感想とは逸れるが、この著作、途中から読む気がしなくなってくる。言ってる内

容がつまらないし、文章も瑕疵が多いからだ。

 それでも、私は最後までつき合った。

 齋藤孝さんも著作で仰有っていたのだが、どんな作者にも作者独特の世界がある。

 自分とは合わないと思ってもしぶとく最後までつき合ってみるべきである。

 齋藤さんが仰有っていたことで首肯したことを紹介すると、本にしろ歌の歌詞にしろ、

そのままを平易に文字にしてしまっている傾向の作品が最近は多いということがある。

「がんばろう」とか「泣かなくていいんだよ」とかは代表例で、何のひねりもない。

 それを読んだり聴いたりして感動した、というのもレベルが低いのではないか、という

ことを仰有っていた。

 あそこのフレーズは実はこういう意味で言われているんだな、と心秘かに納得する。少

数派しか知らない作者の奥意を知る愉しみ。それが読書をする愉しみの一つであるとも言

える。

 犬が硬い骨をしがむように、読むこと自体に苦労が要る文章もまた、読破できたときの

喜びが大きいのだ。

 脱線してしまったが、これで筆をおくことにする。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター・スイートさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

  2. sakamono より:

    読書をする時に、そんなふうに文章を味わうのも楽しみの一つですね。
    私も同感です^^。

  3. 山雨 乃兎 より:

    >sakamonoさん
    自分だけが作者の奥医を知っていると思うと賢くなったようで嬉しいですね。
    読書というのは、暗号を解読するというような意味もあるのでしょうね。
    また、お寄りしますね。(^。^)

  4. 山雨 乃兎 より:

    補足
    上記コメントで、誤字がありました。
    正しくは、「奥医」ではなく、「奥意」です。
    訂正はコメント時刻表示を変えてしまいますので、追記訂正とします。

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