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伊集院静『無頼のススメ』読了(追記あり)

伊集院静さんの、『無頼のススメ』を読みました。


無頼のススメ (新潮新書)

無頼のススメ (新潮新書)

  • 作者: 伊集院 静
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/01/24
  • メディア: 新書

例によって、感想は、追記をお待ちください。

追記・感想

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 「無頼」とは

「無頼」とは、私のイメージとしては、酒や女色をやり放題にやって博打も打ち、生活

が好き放題だが、生業だけはかっちり務まっている、そういう人の生き方を言うのだ、と

常々思っている。

さて、本編で伊集院さんが語る無頼とは、「誰にも頼らないで自立していて、自分の遊

びの始末は、自分でつける」そういう生き方だ。

 自分の足で立つ

伊集院さんが幼少の頃か、祖父の代の話かは忘れたが、近所に乞食がやってきて、家族

は、乞食を不憫に思い、金をやったらしい。それを後で聞きつけた祖父か父が、家族を叱

ったらしい。「おまえ、どこか不自由らしいが、見たところ二本の足で立っているじゃな

いか。自分の足で立てるなら仕事をしろ」と、乞食にも怒ったらしい。

やはり、人間出来る限りの精一杯をやって、それで食えないときに他人に頼るべきなの

だ。しかしまあ、現代では、目に見えない病気や障害もある。この辺のことに関しては、

もう伊集院さん世代だと理解できないのだと思う。

 「正義」を語る危うさ

・正義など通らないのが世の中だ

沖仲士(おきなかし)の仕事をされていた伊集院氏。

新聞では、ベトナム戦争終結を匂わせる記事が出ていても、自らは、船に爆弾を積んで

輸送の手伝いをしている。新聞は真実を伝えない。

「正義」というものは、この世にはない。その正義を声高に叫ぶな、と仰有る。

・生き物としての勘を磨く

佐村河内守氏が、テレビに登場したとき、伊集院氏は、「こいつは騙り者だな」と、横

で佐村河内氏を褒める奥さんにも、「こいつはそんなタマじゃない、ニセモノだ」と仰有

ったらしい。

 生き方 人生の醍醐味

「違和感」から真偽を見極める。斉藤孝氏の言われることと同じである。

話は、博打の勘へも敷衍していく。

・すぐ役立つものはすぐ役に立たなくなる

どんなときでもスマホをいじくる現代人。

「ひとときの間でも何かにめぐりあうのが生きるということなら、ちょっと画面から目を

離して車窓の外を眺めたり、何か感じたりするだけでいい、それが「無所属の時間」でも

あるのにな、そんなことを考えます。」【本文引用】

・情報より情緒を身につけよ

名門と呼ばれるゴルフコースには、情緒がある。ホールやフェアウェイ、池や木や森や

バンカーなどの配置や高低差ですね。

名人と呼ばれるような職人や料理人も、みな若いときは不器用で、親方や先輩に叱られ

たり怒鳴られて、「何てダメなんだろう、向いてないのかな」としょげたりしながら、そ

れでも前を向いて一つ一つ丁寧に、誠実に仕事を身体に覚え込ませていった。だから今が

あるし、長くホンモノの仕事ができる。【本文引用】

速読ができなくてもいい。

高そうな身なりをして、政治や経済や社会についてスラスラと淀みなく話すような人を

見ると、「こいつ、若いくせに勝手に早合点して、頭のどこかオカシイんじゃないか」と

思われるそうです。

この見解は、まったく私と一緒。

敷衍した話でいくと、私は、動画を配信するとき、喋りに、充分な間をもたせます。間

が楽しめないようでは、人生の楽しみは半分です。

若い人に言いたいのは、政治や社会の知識をひけらかしたり見解を述べたりするよりも、

人前で楽器の一つでも弾きなさい、ということです。

ここからは、項目は書きません。気になったところをピックアップします。

 金持ちの八割は悪党と思え

金持ちの八割は悪党と思え、と言われています。

極端にお金を持っている、ということは、他人から吸い上げていることになるからです。

詳しくは本編を。

 仕事は、お金のためだけにするものではない。

自分の正体を見きわめるためには、人とつるまないこと。人と四六時中つながっている

と、賑やかで、心の虚無を忘れさせてくれるのです。でも、それでは永遠に心の空洞の解

決にはならない。若いうちに外国に行くことを薦められている。

理不尽こそが人を育てる。

無頼だから小説が書けると思っている人がいるが、実際の作家の作業は、地道な努力の

積み重ねである。

人間を描くのに学校を持ち込まない。社会へ出てからのほうが、人は成長する。それを

描かなくては、と仰有る。

ギャンブルのこと、亡くした奥さんのことも語られています。

やっぱりこの人は、芯がありますね。一本筋が通っています。

・伊集院静の他の本→   『作家の愛したホテル』   『乳房』  『岬へ』

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