伊集院静さんの、『作家の愛したホテル』を読みました。
例によって、感想は、追記をお待ちください。
追記・感想
まず、タイトルが、『私の愛したホテル』じゃなくて、『作家の愛したホテル』なのが意外性があってよかった。
伊集院さんのホテルでの過ごし方が出てくる。ホテルでは、必ずホテル内のバーか近くのバーに出かけ、充分に酒を楽しんでから部屋に戻られる。
観光やレジャーだけでホテルを利用されることはないそうだ。多くの締め切りを抱えているので、必然ホテルで仕事をしてファックスで原稿を送ることになる。
伊集院さんは、部屋の窓が開くほうがいいらしい。空調で体調が悪くなる、煙草の煙を除去するため、窓辺に佇む時間が長いため、と、いくつもの理由がある。私も同じ理由で窓が開くほうがいい。
一年の内、三分の二を旅行で時間を潰される伊集院さん。現在では、旅行時間は減ったそうだ。この本は、一番海外へ出かけられていた十年を要約されている。
作家、城山三郎が語った「無所属の時間」。旅は無所属の時間なのだ、と。伊集院氏も城山氏に賛同されている。
泊まったホテルが、どんな感じだったか、を語られる。それとともに、少しずつ自分の人生や物事に対する考え方を吐露されている。
野球を青少年時代やられていたから、しかも、一時的に長期観戦のブランクがあったのだけれど、松井秀喜選手の活躍あたりから松井選手が好きになり観戦のためにアメリカにも渡られている。
マイクタイソンの試合を見られたり、ゴルフをされたり。
モロッコのホテルで、風邪をひき、掃除の青年に看病してもらった話は、心温まる。
京都の宿で、トクという老女に世話をやいてもらった話も心温まる。
イギリスのホテルで、早朝にホテルの窓から鷲のつがいの滑空を見た、その描写に胸躍らされた。
やはり、現地に行って、ライブで楽しむ、ということが人生には必要なのだと思った。