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『ブームはどう始まりどう終わるのか』読了(追記あり)

 中川右介(なかがわ ゆうすけ)さんの、『ブームはどう始まりどう終わるのか』を読みました。


ブームはどう始まりどう終わるのか (岩波アクティブ新書)

ブームはどう始まりどう終わるのか (岩波アクティブ新書)

  • 作者: 中川 右介
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/01/07
  • メディア: 単行本

  感想は、追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

 ブームは、どのように始まって、どんな風に終焉を迎えるのか。

 その経緯を、ご自身のカメラ雑誌の盛衰を追いながら、考察するというこの本。

 

 ヒット商品と違って、ブームは予測はできない。況して予測を当てることはできない。

 そのブームに乗って、新規参入組が商売として入ってくる。

 

 ご自身が、出版社の社長兼編集者で、廉価な雑誌を出されていた。

 クラッシックカメラの月刊誌も出されていた。そこに期せずして起こったクラシックカメラ・

ブーム。

 百貨店主催のカメラ市で、雑誌は飛ぶように売れた。

 

 しかし、世はデジカメ主流に変わっていく。

 クラッシックカメラを蒐集趣味として追っていた世代までもが、その意欲を失っていく。

 

 50年代生まれ、60年代生まれまでは、他人と違った物を持ちたいという欲求の強い年代で

あった。その年代も、今や、仕事場では地位を得て忙しくなり、子供の養育にもてんてこ舞いの

時代に入ってしまって、クラシックカメラの蒐集どころではなくなった訳で、デジカメの台頭と

ともに、クラシックカメラ・ブームは去っていってしまった。

 

 この本は、一出版社社長で編集者の立場から、クラシックカメラ・ブームに乗って雑誌売り上

げを伸ばされ、ブームが去って引き時を間違われたご自身の痛い経験から、ブームというものの

特徴について考察された本である。

 

 成功と失敗の軌跡。

 ブームというものが、いかに操作できなくて、便乗や引き際が難しくて、仕掛ける側の意志と

は関係なく突如終わっていくものであるかが、切々と書かれていた。

 たまごっち(ゲーム)の場合などは、生産が追いつかず、一挙に大量の増産に踏み切るが、増産し

て市場に流した折には、すでにブームは去っていた。

 

 そうでありながら、著者は賢明に考えて、雑誌の部数やページ数変更などという勝負に出られ

る。ブームに一見翻弄されながらも、したたかに勝算を計算して新しい展開を図られる。そうい

う著者の姿勢を、男だと思った。

 しかし、結局、クラシックカメラ・ブームの終焉とともに、著者編集の雑誌『カメラジャーナル』も廃刊

となるのである。

 それでも著者は、ブームとは関係がなくても、新しい分野の雑誌を創刊される。

 気骨ある編集者だと思った。

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