森川亮『シンプルに考える』読了(追記あり)

森川亮(もりかわ・あきら)さんの、『シンプルに考える』を読みました。


シンプルに考える

シンプルに考える

  • 作者: 森川 亮
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2015/05/29
  • メディア: Kindle版

例によって、感想は、追記をお待ちください。

追記・感想

エンジニアが良かれと思って作った製品は、往々にして多機能を詰め込みすぎてユーザ

ーが使いにくい。ユーザー視点に立てば、出来るだけ機能搭載量を削って、シンプルな製

品を作るのがよい。

上記のような内容を、他の本でも読んだことがある。

この本でも、論旨の骨組みとしては、同様のことを言っている。

LINE株式会社代表取締役社長をしておられた著者。同社で、自分のやりたいこと、す

べきことは、皆終えたと思われたので退任され、この本を書かれている。

LINEとは、あのスマホのコミュニケーションツールの「ライン」である。

森川さんが辿り着かれた、ビジネスにとって最善の方法を、全編に亘って記されていま

す。

・ユーザーのニーズに応える情熱と能力をもつ社員だけを集める。

たとえば、そういう姿勢。

この本で、とくに斬新だと感じた方法は、会社に、事務方を置かない、ということでし

た。

会議はしない。形式的に時間だけがかかることはしない。

トップは、それぞれのプロジェクトの長に、方針だけを伝えて、権限さえ委譲する、と

いうこと。

プランを考え、目標を達成できているかだけにこだわる事務方の存在は無意味だという

こと。大事なのは、現場の人間が、いかにクリエイティブに、スピーディーに開発できる

か、ということなのだ、と。

また、全社で情報共有はしない。特定の部署には、伏せておいたほうがよい情報もある、

と。

率直に意見を言い合う。相手の企画や新アイデアがよくなければ、率直に言う。ユーザ

ーによいものを提供する、という目的が一緒なら、プランの欠点を指摘されても喧嘩にな

らない、と。実行が難しそうなことですが、誰のための仕事かが全社員に意識してあれば、

喧嘩にはならないでしょう。

会社が、社員にモチベーションを上げてやる、ということは無駄である。そもそも社員

となった時点でモチベーションがない(または、低い)なら社員失格である、と。

経営理念は要らない。時々刻々とニーズが変化する、とくにIT関連企業では、経営理

念をつくったとしても、すぐに古びてしまうから。

仕事は、しんどくて当たり前。しんどい思いをしないと、ユーザーを喜ばせる製品を生

み出せない。

ともかく、著者は、世間での常識で言われていることに、自分の体験から、「それは、

違う」と投げかけられる。

とくに、現代になって常識となってきているようなビジネス精神に、「そうではない」

という答えを出される。

聞けば聞くほど納得させられることばかりです。

『ビジネスは戦いではない』の項では、ご自身のアマチュアバンドでの経験を引き合いに

出され、自分たちと観客(ユーザー)の喜びのために演奏(仕事)をするのであって、同

胞とライバル心から敵対することは可笑しい、と述べられています。他社との競争はある

が、それが本質ではない、と。

感想としては、企業は、優秀な人材を集めて、その力を結集し、顧客の満足いくものを

作る。そうでなくてはいけないな、と思いました。

森川さんも指摘されていますが、学校の延長のような風潮の企業もある。マニュアルが

すべてにわたってあって、社内で競争して、ユーザーへの提供が不完全でも、単に謝るだ

け、というような企業が。

事務方が権威をもって、創造者が低くみられる企業では、よい製品は生まれてきません。

優秀なバンドのように、それぞれの演奏者が熟達し、その力を結集することが最善なの

だ、と思いました。それには、プロたる研鑽が、自発的に日々必要ですね。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >サイトーさん
    >makimakiさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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