今日は、昔話です。
若い頃、僕は縫製の会社に勤めていたんです。
普段は、刺繍のデザインの下描きとかをしていたんですが、ある日、上司に、
「この刺繍、試しで作っといて」
と頼まれ、たしか、当時フロッピーを預かってミシンにセットし、縫いをスタートさせたんですが、途中から下糸が上がってきてどうにもならない。
そこで、ボビンのネジを締めて下糸をきつくして再度、縫いにかかるが、それでも途中から下糸が上がってくる。
午前10時くらいに上司に頼まれた見本縫いでしたが、夕方四時をまわっても出来ない。
結局、同僚にミシンを調整してもらって出来たんですが、当然、上司は怒りますよね。
20分で本来なら出来る見本縫いに、いったい何時間かかってるんや、と。
でもね、その当該のミシン、僕が見本縫いをする前の他の刺繍では問題なく縫えてたわけです。
調整をさわってないんだから、本来ならスイスイと縫えるはずです。
それからだいぶ時が経って、あのときのことを考えてみると、あれは、僕の特殊な体質のせいではないか、と。
青年期を過ぎてから、精神障害になった時期を経て、その頃からどうも機械との相性が悪い。
なんかね、頭か身体から気が出ているんでしょうね。
それが、上糸と下糸の締め具合に影響してくるんでしょうね。
さいきんでは、短期間に就寝用コタツが二個こわれました。
統合失調症の考想伝播が強かったころは、ステレオコンポのCDの再生が勝手にされたり、頭の向きを変えるとカセットテープが巻き戻しになったり。
まあ、僕の場合、症状がきつかったんでしょうが、一般の人でも家電に影響してしまう人って居ますよね。
「お前のう、こんな見本打ちに何時間かかっとんねん」
と、上司に言われたのは辛かったです。
そんな特殊な体質を持った主人公が放浪する小説が、拙著『奇妙』です。
*PR
コメント