『ヤベツの祈り』読了

 ブルース・ウィルキンソンさんの、『ヤベツの祈り』を読みました。


ヤベツの祈り

ヤベツの祈り

  • 出版社/メーカー: いのちのことば社
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 単行本

 古本屋で買ってきたんです。気になったので。

 キリスト教の教会の場合は、確か、新約聖書のなかのキリストが説法した部分を引用して、礼拝のときに、信徒全員でとなえる祈りが既にあるのですが、それ以外に、具体的な祈りは、個人個人でするとしても、何か、これさえ祈っていれば、生活が善い方向に変化する、といった祈りがあるのだろうか、と思って。

 歴代誌Ⅰ(または上)の四章十節に、そのヤベツの祈りは載っていました。

 ヤベツという聖人が居て、(そもそも、歴代誌が、旧約のアダムから始まり、そこから何千年も続いて、バビロン捕囚からイスラエルが帰ってくるまでの、ヘブル民族の正式な家系図を記述するのに費やされている。(一部、本文引用)だから、私も殆ど読んだことがなかったのです。かなり読むのが退屈でしんどいから)ヤベツは、他の聖人、例えばソロモンやダビデなどのような歴史を大きく動かしたというほどの活躍はしなかったのだけれども、永い系譜を紹介する記述のなかで、ヤベツのことだけが、特別な記述が書き込まれている。

 ヤベツという名は、痛みを意味するらしい。

 聖書に登場する人物が、そのそれぞれの名前によって、人生が名前の如くになっていったのに、母親は敢えてその名前をつけた。

 抽象的な記述しかないが、彼の母は、「私が、悲しみのうちにこの子を産んだから」とある。

 ヤベツに関しての記述は、ごく少ないのだが、彼が、おそらく人生の荒波に遭遇して、苦慮したときに、
「私を大いに祝福し、私の地境を広げてくださいますように。御手が私とともにあり、わざわいから遠ざけて私が苦しむことのないようにしてくださいますように。」と、神に祈った。
 そこで神は彼の願ったことを叶えられた。とある。

 何と自己中心的な祈りなのだろうか、と私も少し思った。一日の内で、自分への祝福のために祈る祈りなど、それを中心に据えて祈っていいのだろうか、と。

 しかし、人間が、その力や資質以上のことを(他人に対する善いおこない等でも)しようとするとき、その人間の力以上の仕事はできないのだ。だからこそ、神から力を受けることが大事なのだ、とあらためて痛感した。況して、自分に苦難が降りかかっているとき、こういう祈りは恥ずかしいことではない。

 著者、ブルース・ウィルキンソンは、長年に亘って、このヤベツの祈りを毎日実践している。
 それによって、不思議なミニストリー(小さな偶然的出来事と訳すべきだろうか)に、何度も遭遇されている。離婚寸前となったご夫婦を救われたりしている。

 エピソードとして挟まれている話に、ある人が、寿命を全うして死に、キリストの使徒が魂を迎えにきた。(どちらも固有名詞があるのですが、検索できませんでした)
 その使徒に連れられて、天国を見てまわる。どこに行っても、素晴らしい、心なごませる風景だったのだが、一つだけ何か判らない建物があった。小さな窓がついただけの倉庫のような建物だった。
 主人公は、使徒に、どうしても気になるので中を見せて欲しいと頼む。
 使徒は、初めのうち、見ないほうがいいよ、と言うのだが、あまりにも主人公が頼むので、しぶしぶ倉庫のなかへと案内する。
 そこには、綺麗に包装されてリボンをつけられたプレゼントと思しき箱が、棚に沢山並べられている。
 主人公は、自分の名前の箱があったので、貪るように箱をあける。
 その箱に入っていたのは、主人公に神が用意されていた数々の祝福だった。
 しかし、主人公は生きているとき、神に求めなかったので、それらは与えられないままとなって倉に眠っている、という訳である。

 ああ、何と、どんな人にでも、神は最善の祝福をされようと、いつも願っておられるのか、と痛感した。

 しかし、同時に大切なのは、神の意志に合致している願いを持つこと。すなわち清い心であるように心がけることが大事である、と述べられている。

 信仰に限らず、毎日、同じことを実践していくというのは大きなパワーになると痛感させられた。

 私も実践してみようと思う。

 そんな祈ったぐらいで、と言うまえに、祈ってみることである、と私は思う。

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コメント

  1. タックン より:

    こんにちは。
    自分のために祝福された小箱が用意されているなんて・・・
    それを想像すると ちょっと嬉しい^^
    もちろん 祈るだけでもらえるとは思えませんが 清い心は無理としても
    無心に祈る心は持ちたいと思います。
    『ヤベツの祈り』・・最初ヤベツをキャベツと読んでしまいました^^

  2. 山雨 乃兎 より:

    >タックンさん
    普段の努力はもちろん必要なのでしょうが、毎日、この『ヤベツの祈り』をしていると確実に生活に好影響(善い変化)が訪れる、とあります。
    なかなか神の力を実感できているクリスチャンは少ないのではないでしょうか。僕も含めて。
    沢山の祝福を用意されているらしいです。
    求めよ、さらば与えられん、という意味を実感します。
    キャベツに間違えましたか。確かに、僕も、この本を手にとるまで、ヤベツという人を知りませんでした。(笑)
    祈りでも、日常の自分で決めたことでも、それを毎日実践するのは簡単なようでなかなか出来ませんね。信仰の奥義なんて、実は単純なのかも知れません。
    また、お寄りしますね。(^。^)

  3. 山雨 乃兎 より:

    >たねさん
    ナイスを有り難うございます。
    お返事が遅れて済みません。

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