『インパラの朝』読了(追記あり)

 中村安希(なかむら あき)さんの、『インパラの朝』を読みました。


インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日

  • 作者: 中村 安希
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 単行本

 感想は、追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

 旅行記です。

 ツアーではなくて、トラベルなんですよね。

 三年間のお仕事の経験の後、溜めたお金で世界旅行をされる著者。

 困っている人を助けたいから、というのが動機であり、勿論、見聞を拡げたいという思いもあ

られるのでしょう。

 日本から韓国へ飛び、中国、インド、中近東、アフリカ、そしてヨーロッパへという684日

間の旅です。

 大きく移動する他は、飛行機を使われない。現地のバスまたは鉄道、ヒッチハイク、徒歩で歩

かれる。

「よくやるわ」という感嘆が、正直な感想。

 だって、著者は若い女性ですから、世界の一人旅でしかもツアーでないこのような旅は危険が

いっぱいだからです。

「インパラの朝」というのは、確かアフリカのサファリで肉食獣ばかりを見ていて、その時ご本

人相当疲れていて興味が湧かなかったときに、超然と立つインパラの姿を見たこと、その逃げて

いる訳でもなく捕食に焦っている訳でもない姿に感動したからついたタイトルでした。

 

 色んな国の現地の人と自然に会話が始まる。英語力があるというのは強みですね。

 日本のようにインフラが整備されて環境が衛生的であるかどうかというのは、旅して行く内、

さほど気にならなくなっていきます。(今回の旅だけではなく、ずっと以前にも同じような旅行

をされていますので、だんだん考え方が変わっていかれたようです)

 ときには現地の人と人生の生き方についてまで会話される。

 

 アフリカの山から鉱石を採掘して海外に売ろうとしている男との途中同行の経緯も興味深かっ

た。鉱石は出るのだが、それがどれだけの価値なのか知らない。しかも、それを調べようともし

ない。売値は外国人の言われるまま、原石を磨くシステムもないし、それを作ろうともしないか

ら、搾取されるだけになっている。海外のバイヤーを山まで案内して、チップを貰うことだけで

納得してしまっている。そういう、やる気のない状態を著者は嘆いておられます。男達は仕事が

ないので、朝から酒を飲んで愚痴を言うだけになってしまっている、と。

 また、これは私の知り合いでフィリピンに援助を行っている方からも聞いた話と似たことなの

ですが、アフリカのその鉱石採掘で儲けようとしている男性も、行動に計画性がなく、約束の時

間を守らない。

 途上国が先進国に追いつくには、やはり自らを改造して、自助努力を自らしなければならない、

と、私も思いました。

 

 海外協力という援助が、国単位で行われているとき、それは本当に現地の人の為になっている

のか疑問だと著者は考えられた。NGOやボランティアばかりが一所に固まって、現地の僻地の

人とは比べものにならないシャワーや水洗トイレのある待機所に居る。それが現状らしいです。

 国単位で海外援助をするとき、わざわざ現地の建物を壊して、新しく道路や建物をつくる。そ

こに労働の需要が生まれるようにわざともっていくのですが、そういう方法が果たして本当に現

地の人の為になっているんだろうか、と著者は考えられます。

 

 全編を通して感じたのは、途上国の人は、旅行者に無償でもてなす、という事。

 沢山のご馳走を用意されたり無償で宿泊させてあげたり、という事が、頻繁にあります。(例

外的な土地もありますよ)

 どうやら、それが、自分の徳を積むことのように考えておられるようです。

 心の奥が、純粋であるように、読んでいて感じました。

 困っている人には自然に手を差しのべる。そういう相互扶助の精神に救われて心にポッと灯り

を点された著者。この旅で得た収穫で最も大きかったものではないでしょうか。

 

 盛り沢山の体験談。

 詳細は、どうぞ本編をお読みください。

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