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『月の満ち欠け』完視聴

『月の満ち欠け』通常版DVD [DVD]

『月の満ち欠け』通常版DVD [DVD]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフト
  • 発売日: 2023/06/21
  • メディア: DVD

 大泉洋主演、映画『月の満ち欠け』を観ました。

 予告テロップをサラッと読んでみると、文学的なやつか、と思っていた。
 本編を観て、たしかに文学的。
 原作が、佐藤正午だと知る。

 佐藤正午さんの本は、偶然二冊読んでいて、そのうちの一冊が小説だった。(今作とは違います)
 ファンタジー要素、ミステリー要素、つまり、何だかよく分からない不思議な現象が、ストーリーのなかに混じる。以前から、その作品(一作だけど)を読んで感じたのは、そういう作風でした。

 さて今作は、少しネタバレにはなってしまいますが、輪廻転生がキーワードのお話。
 自分の子供が、誰かの生まれ変わりだとしても、主人公は、自分の子供として愛したい。
 娘の前世での出来事が描かれます。
 なぜ、恋人とねんごろになることを頑なに拒否するのか。この辺の事情が、観ているうちに、ようやっと分かってくる。

 私が青春だった時代と同時代の、娘の前世。
 貸しレコード店があったり、デュポンのライターが出てきたり、そして、核になるモチーフは、映画『アンナカレニナ』。小説で、トルストイ『アンナカレーニナ』は、名前だけは知ってますが、その映画版なのかな。小説は、メチャクチャ長いですよ。
 そして、主人公瑠璃が口ずさむメロディー。「♪りめんばらー」。
 時代背景を採り入れています。

 感想としては、この映画で描かれているような現象は、じつは今現在も起きているのではないか、と思いました。
 人は、自分のためでなく、誰か(たとえば配偶者や実の子)のために頑張るのだなー、と改めて思いました。
 恋愛感情というのは、相手に受け入れられた場合、上手く作用して人生を幸福にしますが、相手に受け入れられなかった場合、想いが強いと悪い行動を起こし、悪い結果を出す、と改めて思いました。
 愛する人とは、いずれ死別してしまう。それなら、始めから人を愛さない、結婚しないほうが益し、とは、たしか聖書の一部分のパウロかキリストとの弟子か一般人の会話で出てきたと思いますが、愛する人に死なれるというのは激痛です。しかし、この映画の内容のように、存在が輪廻転生しつづけているなら、悲しむことはないでしょう。ふたたびこの世に戻ってきて会ってくれる、ということが無かっても、私は、存在そのもの(霊魂)は永遠だと思っています。この映画を観て、その思いを一層強くしました。

*佐藤正午さんの本の感想→ 『ダンスホール』読了  『小説の読み書き』読了

 私はこのブログで万年筆の魅力を綴ってきましたが、実は長年、その万年筆を相棒に物語を紡いできた小説家でもあります。

 インクが紙に染み込むように、人の心の奥底にある「光と影」をすくい上げたい——。そんな想いで書き上げたのが、私の代表作『閉鎖病棟』です。

 閉ざされた場所で交錯する、剥き出しの人間模様。 作家として「本当に面白い、価値のあるものを届けたい」という一心で、一文字ずつ丁寧に命を吹き込みました。

 万年筆を愛するあなたなら、きっとこの物語の「手触り」を感じていただけるはずです。

 画面を閉じる前に、ぜひ一度、私の本の世界を覗いてみてください。

映画評論
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