伊丹十三監督の、『スーパーの女』を観ました。
職人のプライドというのが、一つのテーマになっています。
職人のプライドのなかには、良いものも悪いものもあります。
なかなか仕事を教えてもらえないという職人の世界の現実。
でも、舞台はスーパーですから、前職職人という人が、職人気質のままそのやり方を通しても、スーパー全体の利益にはならない。
肉でも、輸入肉や内臓を混ぜて再生して和牛として売る、のは、よくあることなのでしょうが、本編中の「正直屋」では、嘘を全面的に廃止する。
感想として思うのは、本編中に描かれているとおりを実践しても、全国チェーン店で安売りを展開しているスーパーに勝てない、というのが現実なのではないか、と思った。
鮮度の高い商品だけを売り、古くなった商品は廃棄する、という方式では、経理的には大きな黒字は出せないのではないか、と。
ここまで考えてくると、あとは、鮮度のよい商品を次々と仕入れるキャッシュフローが、どこまで保つか、ということが大事になってくる。
口コミで、よい評判が広まって、お客さんの数と、一人のお客さんが買ってくれる商品数が伸びる、という状況が出来るまで、どうやって資金繰りをするか、ということになる。
本編では、競合全国チェーン店との勝敗がまだ出ていない段階で幕を閉じるが、本当の現実を描こうと思えば、完全に競合店に勝った段階まで描かないとな、と思った。
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本編で注目したのは、主人公の女副店長が、実に臨機応変な顧客対応をしていることに、これが本来のスーパーに姿だ、と思ったことだ。
卵のパックを落として複数の卵を割ってしまったお客さんに、現行の店長は、「これは、弁償していただかないと」と言うのだが、主人公の女副店長は、お客さんの服の汚れに気を遣い、お客の服を拭き、卵ワンパックを、「どうぞ、お持ちください」と渡すのだ。
これと同じことは、私も経験があって、ワインのボトルをレジ精算後に割ってしまったのだが、そのスーパーでは、掃除もしてくれて、新しい同じ種類のボトルを持たせてくれた。
お客の立場、というものを作ってくれている。
これが、お客さんが店側に怒られて、弁償させられるというようなことになると、そのお客さんは、今度は別の店に行ってしまう。
商売では、お客さんが気持ちよくなれるかどうか、が大事なのだ。
とはいっても、主人公、ペットを抱いて買い物をするお客には、「規則ですから」と買い物をつづけることを断る。
いかにして、みんなが気持ちよい空間を作れるか、が大事だ。
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本編では、会社の専務という位置でスーパーを任されている津川雅彦、と、津川の幼なじみの主人公宮本信子との、くっつきそうでくっつかない恋愛もサブストーリーとして描かれている。
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余談だが、接客業が一番、自分にとっては楽しい。
障害が回復すれば、もう一度接客業に就きたいと思う。
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