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出口治明(でぐち・はるあき)著、『人生を面白くする 本物の教養』読了(追記あり)

人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)

人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)

  • 作者: 出口治明
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/10/23
  • メディア: Kindle版

 出口治明(でぐち・はるあき)さんの、『人生を面白くする 本物の教養』を読みました。
 例によって感想は、追記をお待ちください。

   追記・感想と本編紹介

【このレビューは、本編内容の紹介を含みます。本編内容を本編を読むことで得たい方は、このレビューを読まずに、著作をご購入後、先に本編をお読みください】

 付箋を追う。

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  1.  第1章 教養とは何か
  2.  第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない
  3.  この人は面白い人だ、と思われる要素
    1. ・ボキャブラリー
    2. ・「広く浅く」ではなく、「広く、ある程度深い」素養が必要
    3. ・「自分の意見」を持っていること
  4.  第3章 出口流・知的生産の方法
    1. ・「タテ」と「ヨコ」で考える
    2. ・「国語ではなく算数で」考える
    3. ・物事の本質はシンプルなロジックでとらえるべき
    4. ・「修飾語」を取り除いて考える
    5. ・「常識を疑う」ことは常に必要
    6. ・精密情報よりモノを言うのは「考える力」
    7. ・自分の行動を「ルール化」して判断を省力化
    8. ・努力の継続、やる気の出し方
    9. ・健康管理の基本は健康を気にしすぎないこと
  5.  第4章 本を読む
    1. ・分からない部分を「読み返す」ことで本の内容を血肉化
    2. ・新しい分野を勉強するときは分厚い本から入る
    3. ・デジタルかアナログかは好みの問題
  6.  第5章 人に会う
    1. ・誰とつき合うかの基準も「面白いかどうか」
    2. ・綽名(あだな)は「ミスター・フォーエバー」
    3. ・人生の理想は「責務ミニマム、面白いことマキシマム」
    4. ・優れた歴史書とはどんな本か?
    5. ・人間が将来に備える唯一の方法は歴史に学ぶこと
    6. ・古今東西、人の暮らしに必要なもの
  7.  第6章 旅に出る
    1. ・中国の書店で毛沢東の本は埃を被っていた
    2. ・本を読み人の話を聞くだけでは、分からないことがある
  8.  第7章 教養としての時事問題ーー国内編ーー
    1. ・「選挙」「民主主義」「お金」「税と社会保障」の知識は不可欠
    2. ・北欧の子どもより劣っている日本の評論家
    3. ・「選挙は忍耐そのものである」
    4. ・「公的年金は破綻する」という嘘に騙されてはいけない
    5. ・これまでの「小負担・中給付」モデルはもう成立しない
  9.  第8章 教養としての時事問題ーー世界のなかの日本編
  10.  第9章 英語はあなたの人生を変える
  11.  第10章 自分の頭で考える生き方
    1. ・仕事とはあえて言えば「どうでもいいもの」
  12.  まとめ・感想

 第1章 教養とは何か

 知識=教養ではない。教養とは生き方の問題。
 教養とは、人からの評価を高めたり箔をつけたりするためのものではなく、自分の人生をより彩り豊かにするためのもの。【本文引用】
 と言っても、教養を身につけるには、ある程度の知識が必要。知識が必要なのは、それによって人生の楽しみが増えるから。
 食わず嫌いの未知のジャンルにも興味を持ってそのジャンルの知識を得る。そのことによって、そのジャンルを楽しめるようになる。
 同じ情報を得ても、その内容に矛盾を感じるかどうかは、自分の頭で考えているかどうか。分からないテーマや事柄があった場合、他人がそのことを説明していると、それを聞いただけで分かったつもりになる。現代人は、安直に「答え」を欲しがる傾向。人の説明や意見を聞いて、「そういう考え方もあるんだな」と一旦保留にする。その後、自分の頭で考えて、「腑に落ちる」という体感を得る。それが理解する・分かる、ということ。

 意見が決められないのは「考え不足」が原因
 アンケートで社会問題をどうするべきかなどの意見を求められるとき、「よく分からない」とか、「どちらとも言えない」と答える人が多い。意見が決められないのは、材料が少ないから。その問題のことをあまり知っていないから。たとえば、そのテーマに関する本を一冊でも読んだのか。教養不足の一因は、このような「手抜き」にある。

 第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない

 海外のトップリーダーは、ほとんどがドクター(博士)かマスター(修士)。日本のビジネスリーダーは、教養が不足している。グローバルビジネスにおける人間関係は、ビジネスの中身で決まるのではなく、「人間力」で決まる。【本文引用】
「この人と仕事をしたら面白そうだ」と思われるかどうかという属人的な要素が、ビジネスパートナーとして選ばれる鍵。

 この人は面白い人だ、と思われる要素

・ボキャブラリー


 グローバルスタンダードの「面白い」は、ギャグではなく、「興味深い」という面白さ。さまざまなことを知っていて、自分の考えを刺激してくれて、新しい話題に引き込む力のある人、が「面白い」人。【一部本文引用】

・「広く浅く」ではなく、「広く、ある程度深い」素養が必要


「狭く、深い」専門分野を持ったうえでの、「広く、ある程度深い」素養が、グローバルリーダーには必要。【本文引用】
 グローバルリーダーには、大前提として、ビジネスや経済の知識は必要だが、その上に、文学、美術、音楽、建築、歴史などにも深い素養を持っていること。雑多な知識を持っているのではなく、この文学、美術、音楽、建築、歴史などの分野で、一つぐらいは深い知識や見識を持っていること。たとえば、夏目漱石は全作読みました、とか、ビートルズは全曲聴いています、などといった深さも必要。
 商談をするとき、ゴルフや天気の話ばかりでは、相手の懐に入れない。双方の関心領域がある程度重なっていると、信頼関係が醸成される。
 西洋にはギリシア・ローマの時代以来、「リベラルアーツ」という概念がある。一人前の人間が備えておくべき教養のこと。七つの分野から成る。詳細は、本編に譲る。

・「自分の意見」を持っていること


 自分の意見を持って、「異論」を論じることへの日本と世界の風潮の違い。異論が存在できない社会は、きわめて不健全。世界では、ユニークなものの見方やパーソナリティーが際立った考え方は、それだけで一目も二目も置かれる。いっぱしの大人が「自分の意見」の一つも持たないほうが恥だと思っている。【一部本文引用】

 日本の大学生は、海外の大学生に比べて、勉強量が少ない。
 それは、会社が、学生に勉強することを求めていないから。たとえば、面接のとき訊かれるのは、「クラブ活動は何をしていましたか」とか、「アルバイトの経験はありますか」など。

 人間の意識や思考は、その人が育った直近の二十~三十年の社会のあり方をそのまま反映しているという学説がある。現在の日本人の意識は、すべて戦後の日本の社会を反映していると言える。
 戦後は、冷戦構造。焼け野原から復興するために、アメリカをキャッチアップモデルにした。つまり、手本があったので、自分の頭で考えないほうが都合が良かった。
 冷戦構造で、「キャッチアップモデル、人口増加、高度成長」の三点セットが上手く機能していた。現在は、冷戦が終結。人口が減り始める。あらゆる指標が頭打ち。つまり、普通の国に戻ったのだ。これまでと同じ戦略ではやってゆけない。私たちには、教養が求められている。行き詰まりをブレイクスルーするオリジナリティー、さまざまな相手を惹きつける「面白さ」「人間的魅力」、自分の頭で考える力などの教養の力を全開することが必要とされている。いまやかつてなく、「個の力」が問われている。【一部本文引用】

 第3章 出口流・知的生産の方法

・「タテ」と「ヨコ」で考える


 タテは、歴史。ヨコは、外国の状況。

・「国語ではなく算数で」考える


 修飾語をつかった美しい日本語で論旨を展開すると、その通りだと思ってしまうことがある。同じテーマを、数字のデータで検証すると耳障りのいい論旨が、じつは間違っていると分かることがある。

・物事の本質はシンプルなロジックでとらえるべき


 個々の木をみるまえに森の姿、森の全体像をしっかりととらえることが肝要。精緻な議論のように思える場合、枝葉だけを議論していることがある。

・「修飾語」を取り除いて考える


「母なる地球」と環境問題などでは言われるが、地球は、物理的には鉄などの塊でしかない。
 言葉の問題ではないが、「修飾」は別の形でもつきまとう。好きな人の発言と嫌いな人の発言。同じ内容でも、受け止め方が違ってくる。

・「常識を疑う」ことは常に必要


 ここで、「商売で一番儲ける方法」の話が出てくる。なるほど、と思える興味深いお話なので、本編を読むことをお薦めする。

・精密情報よりモノを言うのは「考える力」


 立花隆氏の著作、『田中角栄研究』を例にとって、教養は、誰もが知らないことを披露するという形だけではない、と仰有る。同書に出てくる事実は、極秘でも何でもない、当時普通に報道されていたことばかりだと。しかし、その事実から深く掘り下げた考察が展開される。

・自分の行動を「ルール化」して判断を省力化


 たとえば、出口氏の場合のルール
 出版の場合、「出版は広い意味でライフネット生命の宣伝になるので、時間の枠を設けて、そのなかで対応できるものは基本的にお引き受けする」。講演も同ルールで、「聞く人が10人以上いたら、月間の枠を設けて、その範囲内で出来るだけお引き受けする」。【一部本文引用】
 つまり、個々のオファーに対して、どうしようかと考える時間を作らないので、その時間と労力がやるべき仕事に向けられる。

・努力の継続、やる気の出し方


 本編に譲る。

・健康管理の基本は健康を気にしすぎないこと


 本編に譲る。

 第4章 本を読む

 私にいくばくか教養のようなものがあるとすれば、と、謙遜して仰有るその理由は、「本・人・旅」が培ってくれたから、と。
 しかし、出口氏は、「本・人・旅」から必ずしも何かを「学ぼう」としているわけではない。出口氏を動かしているのは、「面白い」という感覚。この、「面白い」という語が、この本のキーワードとも言える。出口氏の生きる原動力が、「面白い」かどうかという意識であり、全編に、たとえば、「この人と話すと面白い」人と重点的に話すなどといった述懐が出てくる。

・分からない部分を「読み返す」ことで本の内容を血肉化


 分からない部分を読み返すと、最初は分からなかったことでもちゃんと分かるようになり、頭のなかへの入り方がまったく違ってくる。【一部本文引用】私(山雨乃兎)が、ある先輩に言われたことは、「小説の場合、導入部で登場人物や舞台がよく分からなかったら、一度戻って読み返して完全に理解してから本編を読み進めると、ストーリー展開が楽しめる」ということでした。出口氏も、速読否定派です。否定派ですが、本を早く読了するには、ノンフィクションの場合、予備知識があると速く読めて理解が深くなると仰有っています。

・新しい分野を勉強するときは分厚い本から入る


 目から鱗が落ちる、通説とは違う勉強方法。詳細と理由は、本編に譲る。

・デジタルかアナログかは好みの問題


 出口氏は、本も新聞も紙のほうが好き。これは好みの問題と仰有る。
 新聞の紙のものの長所は、一覧性に長けていること。

 第5章 人に会う

・誰とつき合うかの基準も「面白いかどうか」


 メリットがあるから、その人とつき合う、という姿勢ではない出口さん。出世に有利にもならないからつき合うメリットがないですよ、と相手側の銀行の同僚からアドバイスされたが意に介さなかった。出口氏が、つき合う人を選ぶ基準は、「面白いかどうか」。

・綽名(あだな)は「ミスター・フォーエバー」


 日本生命ロンドン首席代表として駐在されていたとき、外国人の部下に信頼と親近感を得るために、「いつまでこちらにおられるのですか」という問いの答えとして言っていた言葉。

・人生の理想は「責務ミニマム、面白いことマキシマム」


 講演をするときの、事前のご挨拶は受けつけない。主催者とは会場で初対面。会議も、事前にテーマの提示と質問のやりとりを済ませているので、しても短時間で終わらせる。(事前に、メールやLINEで内容を詰めておくのだろう)
 このように、打ち合わせでも用件は早く済んでしまうが、その人に興味を持ったら、別の話で一時間もとられるらしい。やはり、「面白い人」が好きなのだ。

・優れた歴史書とはどんな本か?


 タイトル内容は、本編に譲る。余談として、司馬遼太郎作品は、歴史とは言えない、と仰有っていました。「歴史」というより、「物語」。最初に結論ありきで、その結論に合致するモザイクだけを採用。つまり、ストーリーが史実とは違って、細かい史実がフィクションのストーリーに填め込まれている、ということでしょう。知人も、司馬遼太郎作品は、史実にないことが出てくると言っていました。でも、まあ、物語を楽しむために読む分にはいいでしょうね。

・人間が将来に備える唯一の方法は歴史に学ぶこと


 詳細は、本編に譲る。
 私が心に刺さった文章を引用します。
【人間が老人になっても生きているのは、人生で学んださまざまなことを次の世代に語り伝えることによって、次の世代をより生きやすくするためです。人はそのために生かされているのです。】

・古今東西、人の暮らしに必要なもの


 北京在住のライター・多田麻美氏の著作のなかの言葉を紹介されています。本編でご確認ください。

 第6章 旅に出る

・中国の書店で毛沢東の本は埃を被っていた


 天安門広場には、毛沢東の肖像が誇らしく飾られているが、それはあくまでも国の建前。市民レベルの本音では、毛沢東より金儲けのほうに関心がある。

・本を読み人の話を聞くだけでは、分からないことがある


 現地に行って、五感で感じると分かることがある。ただし、本を読むことによって過去に行くこともできる。
 詳しくは、本編に譲る。

 第7章 教養としての時事問題ーー国内編ーー

・「選挙」「民主主義」「お金」「税と社会保障」の知識は不可欠


 人は貧しいときにはよく働き、よく勉強する。早く苦境を脱し豊かになって、お腹いっぱいご飯が食べたいから。豊かになってしまった日本でハングリー精神は期待できない。そこで重要な役割を担うのは、教育。【本文引用】以下の詳細は、本編に譲る。

・北欧の子どもより劣っている日本の評論家


 北欧では、義務教育で現代社会を生き抜くうえで必要不可欠な実践的知識が教えられる。 その知識のなかで、「選挙」に関して教えられている知識が、投票行動を棄権または白紙投票すれば、有力候補を支持したことになる、ということ。じっくり考えてみれば当然のことなのですが、日本の評論家は、今の与党に賛同できないなら、せめて白紙投票をして態度で示そうなどと言っている。

・「選挙は忍耐そのものである」


 チャーチルの言葉の意味
「選挙に出る人は、異性にもてたいとか、お金を儲けたいとか、目立ちたいとか、権力を握りたいとか、せいぜいそんなところが実際の目的だ」【本文引用】
 だから、とつづくチャーチルの論旨展開については、本編でご確認を。

・「公的年金は破綻する」という嘘に騙されてはいけない


 国債を発行できる限り、公的年金の破綻はありえない。

・これまでの「小負担・中給付」モデルはもう成立しない


 公的年金の維持について解説されています。本編をお読みください。

 第8章 教養としての時事問題ーー世界のなかの日本編


 省略します。是非、本編をお読みください。

 第9章 英語はあなたの人生を変える


 省略します。是非、本編をお読みください。

 第10章 自分の頭で考える生き方

・仕事とはあえて言えば「どうでもいいもの」


 仕事をしている時間は、人生のうちの二割か三割。その他の八割の時間を大事にしたほうがいいと出口さんは仰有る。
 他、割愛します。是非、本編をお読みください。

 まとめ・感想

 省略した章ではあるが、英語をある程度の水準以上に習得すると世界が広がると書かれていた。洋画を字幕なしで楽しめるし、ネットで見られる論文も理解することが出来る。英会話の醍醐味は、単に相手に通じるかではなく、ニッチな内容を深くディスカッションできることだとも書かれていた。
 他の章でも出てきたが、得意のジャンルは有ったほうがいい。そこで深い知識と見識を持っていれば、相手にも一目置かれるし、会話も愉しく深いものになる。
 本編では、グローバルスタンダードなどの言葉が出現し、外国人と対峙したときの相手に「面白い」と思ってもらえる教養の在り方が書かれているが、それは日本人同士であっても言える内容であると思う。
「お前、面白い奴だな」と、相手に思われる人になりたいと、本書を読んで思った。決して一発ギャグを言えるというようなことではなく。

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