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『フリー』読了(追記あり)

 クリス・アンダーソンさん著、小林弘人さん解説、高橋則明さん訳の、『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』を読みました。


フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略

フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2012/07/31
  • メディア: Kindle版

 例によって、感想は、追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

【最初に】本編を正確に呈示できていない場合があります。ご了承ください。

 

 無料のものを有料のもののオマケに付ける、というのが従来の企業の戦略だったのですが、現

今では、そのやり方以外の無料が増えてきているという事。

 

 ロングテールの提唱&説明で前回の著作で有名になったクリス・アンダーソン氏。

 ロングテールとは、需要のある商品から需要が少ない商品までをグラフにしてみた時、ニッチ

(マニアだけが好むコアな)商品にも、必ず購買者が居る、という事で、その需要のグラフが恐竜

の尻尾のように長い減衰型の曲線になるということ。ネット販売の場合、在庫を多量に揃える必

要がないので、どんな需要の少ない商品でもストアやホームページで紹介できる、といった現象

のこと。

 それにより、売れ筋商品以外の品目も、多数の種類が多量に売れる

ことによって商売が成り立つ訳です。

 

 市場は限界価格の競争になる。

 そんな中でフリー(無料)という形態ができてきたようです。

 たとえば、一番スタンダードな例が、基本サービスは無料にして、オプション付きのサービス

は有料にする訳です。それでも、数パーセントの割合の人が有料サービスを使ってくれるから成

り立つ、と。

 また、年会費は有料ですが、その年会費が安すぎて、気分的に無料であるように感じる、とい

う戦略。その場合は、加入者数で収益を稼ぐ訳です。

 

 音楽の配信でも、シングルを無料でダウンロードさせることによって、次に出たアルバムで稼

ぐ、とか、周知してもらうことによってコンサートの動員数を上げる、とか、の戦略が現に成り

立っているようです。

 

 デジタルのものは無料になっていく。アトムのもの(具体的な質量を持つ製品)は完全なフリ

ーになる訳ではない、と。

 

 結局、競合他社が「無料」という戦略をとったことによって、自社も「無料」という戦略をと

らざるを得ない訳です。

 

 医学学会の臨床データがフリーで公開されるシステムもありますが、その場合は、患者の臨床

のデータ(この場合は、特定の疾患についてのデータを検索させて提供する場合に限り有料にす

る等。

 また、会員料無料の場合には、会員のデータを需要先に合わせて吟味してデータとして転売す

る事で利益を得るなどの方法もあるとか。

 

 お金そのものではないが、お金と同等な価値もあるという話しには首肯しました。

 欲求段階説として説明されている中には、食べ物や水への欲求、安全の欲求、愛と所属の欲求、

承認の欲求、そして、自己実現(創造性などの意義あるものを追求すること)があります。【一

部、本編引用】その最高次の欲求(自己実現の欲求)には、ブログなどで意見を表明したい、と

か、注目を浴びたい、という欲求もある訳です。それ自体が価値である、と。ただ、お金には結

びついていないからといって、それが無価値とも言えない。非貨幣経済、と呼ばせていらっしゃ

いました。

 また、この一見お金に結びついていない価値をお金に換えることも可能な気がします。やり方

をどう見つけるかなのでしょうが。

 

 この本でも、何度かブロガーという言葉が出てきましたから、アメリカではブログを書くこと

が仕事になっている人が居るのでしょう。

 

 マイクロソフト対リナックス、という項目では、大分昔からフリーという概念があったことが

語られます。すなわちOSでもオープンソースという完全無償版が存在したのだという事。

 そういう見方でいけば、デジタルのもの(情報も含めて)、つまりビットは最初から限界価格

への競争だったのではないでしょうか。

 

 フリー(無料)にするからこそ、多くの人に周知されるという決定的な宣伝力になる。

 或る期間だけ無料にするというシステムもあります。

 巻末付録で、フリーを利用した50のビジネスモデルというのが紹介されていますので、どう

か読んでみてください。

 

 フリーという戦略が今や一番強いのだな、と思いました。

 

 余談ですが、「フリー」という言い方は、アメリカではあまり受け容れられない。悪いイメー

ジがあるので別の言葉で言い換えることが多いそうです。その経緯については本編をお読みくだ

さい。

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