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『ユダヤ系アメリカ人』読了(追記あり)

 本間長世さんの、『ユダヤ系アメリカ人』を読みました。


ユダヤ系アメリカ人―偉大な成功物語のジレンマ (PHP新書)

ユダヤ系アメリカ人―偉大な成功物語のジレンマ (PHP新書)

  • 作者: 本間 長世
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 1998/02/01
  • メディア: 新書

 例によって、感想は追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

【最初に、読後の記憶をたよりに感想を書いているので、間違った語句の引用や本編の解

釈が不十分である場合があることをお断りしておきます。詳しくは本編をお読みください】

 

 ユダヤ人というとき、民族としてユダヤ人である場合と、ユダヤ教徒だからユダヤ人で

ある場合とがあります。国が一旦なくなって世界に散っていたユダヤ人ですから、国籍と

しては皆、外国人になってしまった時期が長かった訳です。

 シオニズム運動で祖国再建を果たしますが、それでもイスラエルに帰らないユダヤ人も

居ます。

 アメリカは移民の国です。

 先住インディアンを除いては皆、他の土地から移り住みました。

 人種のるつぼ、という見方をしている或る識者の見解が出てきます。

 その内訳は、プロテスタントのエスニック(民族)グループとカトリックのエスニック

グループ、そしてユダヤ教のエスニックグループです。

 この本にも書かれていないことですが、民族的にはユダヤ人で、でもイエスをメシア

(救世主)だと認める人も居ると推察するのですが、それでも、そういう人は、トーラー

やタルムードも同時に護る人だと思います。キリストを受け入れれば、律法の枝葉末節は

そんなに大事ではないとする現今のキリスト教とは、恐らく考え方が違うと思います。

それだけユダヤ教の律法というのがユダヤ人にしてみれば大事なものだと思うのです。

 

 アメリカ人は(アメリカに限らず、嘗てのヨーロッパでも)、何故ユダヤ人に対して偏

見と差別を持っていたのか。それは、キリスト教を信仰していたからなのです。

 キリスト教徒にとっては、キリスト=神です。ユダヤ人は、ユダヤ教を信じています。

(勿論、現在では改宗する人や無神論者も居ますし、エスニックで分けてユダヤ人と呼ぶ

のか、信仰によって区別するのか、は私には詳しく分かりませんが)

 キリスト教徒にとっての神イエス=キリストを十字架につけたのは当時のユダヤ人であ

ったというのが、キリスト教徒には許せない訳です。

 と、まあ、ここまでは本編の解釈ですが、私思うに、ユダヤ人は神(旧約の)に選ばれ

た選民な訳ですから、どうあがいても選民にはなれないヨーロッパ人には、それが妬みの

素だったのかも知れないのです。イエスを十字架につけたのはユダヤ人ですが、イエス自

身がユダヤ人なのですから。

 

 第一次世界大戦と第二次世界大戦でユダヤ人は迫害を受けます。極めつけはナチスのホ

ロコーストです。ゲットーに隔離されていた時期もありました。

 ナチスの手から逃れて、最終的にアメリカに移ったユダヤ人も居る訳です。

 アメリカでは、何段階か移民の流入があって現在の人口分布になっている訳です。イギ

リスからの移民。独立記念日。その後、建国。このときには合衆国憲法が定められます。

この憲法でアメリカ国民には信教の自由が公に認められる動きとなったのです。キリスト

教の信者が多かったアメリカですが、信教の自由を認めたことによって、キリスト教の信

者以外も市民権を得る訳です。(この辺の記事内容はタイミングを正確に僕が書けてない

かもですので、本で確認してくださいね)

 憲法には人種差別も認めないとなっています。実は、憲法制定後も、根強く黒人差別や

ユダヤ人差別は残るのですが……。

 

 この本では、ユダヤ人がいかにアメリカに溶け込んでいったか、を書いていますが、ユ

ダヤ人に限らず、多種のエスニックグループがどういう風にアメリカ人になっていくか(習

慣や信条なども)を追っています。

 そのことをアメリカニゼーションというようです。

 差別や迫害があったので、ユダヤ人であることを隠す人も多かったとか。

 そうではなく、ユダヤ人であることを根本的に辞めてキリスト教に改宗する人も居たよ

うです。

 いずれにしても、ユダヤ系アメリカ人になっていく訳ですから、ルーツがユダヤであっ

たということになります。国籍はアメリカ人になる。

 そうなってもユダヤ系というだけで差別される訳です。

 そういう社会の風潮が徐々に変わってきたのには、ユダヤ系アメリカ人の二世がめざま

しい各分野での活躍をしたからだ、と書かれています。スポーツでも知識分野でも。ギャ

ングスターも。(スポーツでは、体型が小さくて筋肉量の少ないユダヤ人にはこの分野で

の活躍は無理だとアメリカ人は最初思っていたようです)

 

 話が跳びますが、ホロコーストという呼称は、ヘブライ語の語源からすると生け贄にす

る為の動物の丸焼け状態を表すようで、ユダヤ人にとっては好ましい表現ではありません。

「ショアー」というのが正確な名称と言えるようです。

 

 最後にシオニズム運動で折角建国したイスラエルですが、ユダヤ人の中にもイスラエル

にわざわざ住もうと思う人が少ないことが、この運動が意味がなかったという結論に成り

かねない、ということを著者は仰有っていました。すなわち、もっと多くのユダヤ人がイ

スラエルに戻っていけばよいのではないか、と。祖国を奪還したという事実があって、そ

の地を心の中で想いながら、生活は別にどこに住んでいてもいい、というユダヤ人が多い

そうです。

 

 ユダヤ人に対する、「闇の支配者」とか「悪徳高利貸し」とかというイメージは、プロ

パガンダや喧伝によって作られているということ。確かに、そういう人も居たのですが、

殆どの人が「悪徳高利貸し」ではありません。

 

 日系にしろユダヤ系にしろ、初代はアメリカに馴染もうとして異文化も取り入れるが自

分たちの文化も大事にする。二世は、ルーツである文化・習慣を取りやめようとする。そ

して、三世になって、もう一度自分たちの文化・習慣を学び直して残そうとするらしい。

 

 混血化が進んでいって、ユダヤ人という概念が変わってしまうと思う。ユダヤ教を信じ

てその教えも護っている人たち、という括りなら、未来永劫はっきりとしたカテゴリーと

言えるのではないだろうか。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター スイートさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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