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『嘔吐』読了(追記あり)

 JEAN-PAUL・SARTREの、『嘔吐』を読みました。


嘔吐

嘔吐

  • 出版社/メーカー: 人文書院
  • 発売日: 1994/11/01
  • メディア: 単行本

 例によって、感想は、追記をお待ちください。

   追記・感想

 厳粛な場でも、周りが驚くような奇異な行動をとってみたい。

 漫画家の蛭子能収さんが、普段から仰有っているような動機が浮かぶ。そのことを著者

サルトルは言っています。

 物事の何に価値があるのか。

 退役軍人として、恩給をもらって、退職金ももらって悠々自適に過ごせるはずの主人公。

 それなのに、昔の恋人と逢っても、恋愛の理論を出され、まず、お互いに理論的に納得

していなくては、まぐわいもすべきでない、と断る元恋人。

 レストランで食事を摂っていても、みんな、社会的立場を披見しあうだけの見せかけの

社交をしている。

 こんな人付き合いなら止めてしまいたい。

 そう思う主人公。

 後半では、図書館の常連の客が、図書館で少年に淫らな行為をしているところを目撃す

る。

 それに、反発する周りの人たちだが、人が、どういう生き方をしようと放っておけばい

いのではないか、と、青年を糾弾した男に反発してしまう。

 倫理道徳よりも、人間に一番重要なのは、存在を肯定する、ということではないのか。

と。

 社交のなかで、反吐が出る。見せかけの社交の場で、自身を虚構で飾っている人たちば

かりの、そんな社交場に、「吐き気」を催す。

 倫理道徳よりも、人間が重要にすべきは、実存、存在なのだ、と寓意で語っている。

 著者サルトルの姿を重ね合わせ、退役軍人として、充分な残りの人生の生活費を確保し

たうえで、小説創作などの日々を送ろうと思う。

 そんな立場になってから見えてくることは、周りの人間は、他人にどう思われるかばか

りを気にした生き方しかしていない、ということだった。

 元・恋人にも、再会したとき、主人公が一番望んでいたのは、空虚な自身の中身を埋め

るセックスや愛撫だったのだが、恋人は、屁理屈をこねて、なかなか、それに応じてくれ

ない。

 道徳が大事、或いは、世間体が大事、ということではなく、実存・存在が大事なのだ。

その欲求を第一に満たすことが大事なのだ、という帰結だった。

 執筆当時の、他の哲学者の名やイデオロギーも、登場人物名として出てきて、ストーリーのなかで暗に批判しています。

 発表当時は、物議を醸した作品だったのでしょう。

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