完全に駄目です。このDVD。
車谷さんの小説は、本人の体験に基づいていると思わせる内容が必要なのです。
鳩の目を石で、石を投げて潰した恐ろしい何を考えているのか分からない恋の相手の夫も、内田裕也なんてもってきて充分でしょうか。
みんな、内田裕也は、みんな周りの人が合わせにくい昔道徳の恐い人というイメージで見ますが、今回、いや、今回の映画を別にしても、別に、内田裕也は、一般人には恐くありません。
鶏のさばきを命じる女(玄人)も、原作を読んでいたものとしては、不充分です。或る程度の美しさなどなかっていいのです。僕は、原作を読んで、もっとお婆ちゃんのイメージが湧いていました。
何でもかんでも、とりあえずは有名人を嵌める必要はないのではないですか?
鶏の半分腐敗しかかった臓物をさばく、そして、寝泊まりする部屋は、原作では、絶対にアルミサッシの窓が嵌っている部屋ではなかった筈です。アルミサッシひとつとっても、ひなびた感じは出るのでしょうが、そのアルミサッシさえなかった時代なんです。
包丁の研ぎ方でも、本当に研ぐなら、この映画のような直線的だけで済まされる動きになったでしょうか。たとえ、往復の動きの一方向だけでも、研いでいる現実感が全く出てません。
少なくとも、本編にヤクザ関連の人、例えば女主人の亭主などが出ています。ヤクザの本物が、この程度の怖さでしょうか。しかも、品の悪い(済みません、尼崎全体のことを言っている訳ではありませんが)尼崎の玄人(ヤクザ)でしょう。完全に不完全です。
主人公、生島の恋愛の相手の言動も不自然です。
「生島さん、えらい日焼けしてはるやないの?」
と、女は訊く訳ですが、必然性を感じない科白の言い方です。
僕から観て、完全にこの女優、この映画には失格です。
別に、美人をもってきても、それはいいのですが、玄人の世界で生きている生臭さが全く出ていません。
完全に駄目です。
原作者の車谷さんが、本心で納得されてるかどうか疑問です。
こんな出来映えで、納得した(心ならずも)車谷さんの辛さが分かるようです。
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