『「苦情」対応力(お客さまの声は宝の山)』読了

関根眞一さんの、『「苦情」対応力「お客さまの声は宝の山」』を読みました。


「苦情」対応力 「お客の声は宝の山」

「苦情」対応力 「お客の声は宝の山」

  • 作者: 関根 眞一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/06/29
  • メディア: 単行本

 苦情には、二通りある

本当に(実際に)お客さんに対するサービスの低下や商品の品質に問題があって出す苦情と、苦情を言いたいが為の苦情とが有るようです。

 著者の経歴と現在の仕事

著者は、百貨店のお客さま相談室長をされていて、その後、苦情対応アドバイザーとして独立されています。

その業務を想像するに、かなり辛い経験の連続であったと推察できますが、本文からは、疲労困憊しているような様子は感じさせません。

 苦情を言わなければ損だというような非常識な苦情が増えた訳

今、学校でも、歯科医院でも、言わなければ損だというような非常識な苦情が殺到する傾向にあるようですが、著者によると、この現象は、需要と供給のバランスが崩れたことにあるそうです。

どこの店に行っても、最低限のサービスと、欠陥のない商品を購入することができる。況してや、供給側の店の方が増えた、という現状です。

それで、肝腎なのは、お客さんの数が相対的には減っているので、一人のお客さんでもリピーターとして大事にしなければならない、という事です。

 店側の、苦情に対してのあるべき姿

そして、僕はこの本の全体をまとめるのは無理ですから、気になったところを述べますが、店側に落ち度があった場合は速やかに対応しなくてはならない。そして、早い段階でお客さまに受容してもらえること、お客さまの苦情を言う動機は何か、その動機に対しての的確な答えを返すことが大事である、と。

そして、クレーマーなどの無茶を言ってくるお客さんには、店側が嘘を言って折れて話をまとめるということは絶対にしてはならない、ということでした。

 苦情対応のスキルは、他の業種にも応用が利く

百貨店の苦情対応を出来るようになると、他の業種にも応用が利くと言われています。一番、きついポジションは百貨店だろうということです。学校がどんなに大変だといっても、店である百貨店の方が、客はもっと無理難題を押しつけてくるので、比して大変ではないと仰有っています。教師の場合は、苦情対応などの経験がなく、それが仕事ではないから、そして、チームプレイで解決すれば案が沢山でて解決できる部類の苦情にも、教師の場合は独りで抱え込む場合が多いそうです。

後半は性同一性障害のお客さまからの進言(メール)を受け、著者自らが考え方を改めるという内容でした。(僕自身も性同一性障害という定義づけ自体に納得のいく咀嚼ができていません。だから、すぐに接客という人対人のコミュニケーションの場で、しかもそれがサービスや販売という仕事の場合、急ピッチに理解してゆくことを求められると思います)

時代の矢面に立たされる百貨店業界は、細かい気配りが必要な大変な仕事だと思いました。

 現代人が、小さなことで腹が立つ傾向の理由

ひとつ、面白い論考として、今現代が個人主義で小さなことに簡単に腹が立つという傾向は、この本の著者曰く、ウォークマンが発売されてきた時代からだという事です。

例えば、昔はラッシュアワーの満員電車でも、二人組や三人組の知人同士が近くに座り、お喋りをしていた。一人で乗る人は、新聞や単行本を読んでいた。その新聞を両脇の人が覗き込んで、閉じかけると、「おい、未だ、読みきってないよ」と、脇の人が言っていた、そんな時代だったそうです。

ウォークマンで個の世界を電車のなかに延長するようになり、さらにケイタイ、今では記憶型の音楽再生機が出て、みんな話しをしないのが当たり前となって、余計、他人が出す音にもいらつくようになった、と書かれていました。

その個人主義がクレーマーを大量に生み出す源になった、と。(正確な本文の内容ではないのでご容赦ください)

高校生の時代(ウォークマンが発売された時代)に戻りたいなぁ、等と、半分思います。

しかし、著者も述べられているように、便利な道具が開発され、その恩恵を一旦受けると人は逆戻りできません。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >xml_xslさん
    ナイスを有り難うございます。

  2. 山雨 乃兎 より:

    >ガイちゃんさん
    ナイスを有り難うございます。

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