『世間のウソ』読了(追記あり)

 日垣隆さんの、『世間のウソ』を読みました。


世間のウソ (新潮新書)

世間のウソ (新潮新書)

  • 作者: 日垣 隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/05/31
  • メディア: 新書

 例によって、感想は追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

 まずは、宝くじの嘘。

 一億円以上の当選者数が増えているとしているが、一万円が当たるラッキー賞の本数が

激減して、そこで帳尻を合わせている。

 一万円なら当たる、が、「当たった」と喜べるのは三千円以下しか買わなかった場合、

それ以上買っている層が一万円を当てても当たりは当たり、なので当選者が増えたことに

なる。この層を増やそうとしたのが03年。二等一億円を倍増させて、よりギャンブル性

を高めたのが04年ということになる。

 一等に当選する確率は98年以前の4分の1に下がっている。98年以前には、一等前

後賞合わせて一億二千万円だったのが、99年から法改正で、一等前後賞合わせて三億円

を実現。しかし、一等前後賞の当選確率は98年以前の四分の一以下となった。(250

万本に一本→一千万本に一本)一等の当選確率を4分の1に下げて二等の確率を上げ、低

額の一万円をばらまくようになった。

 当たりやすい売り場はなく、もし、あったとすれば不正が行われている。そうでないな

ら、その店で買われた枚数が多かっただけのこと。

 宝くじで一等が当たる確率は、0.0000001。交通事故で1年以内に死ぬ確率は、0.00926。

 

 ・安全性のウソ

 鳥インフルエンザは、鳥にとって「しんどい」。人が「しんどい」のは、ヒトインフル

エンザ。新聞やテレビで、「ヒトに感染すると五億人の死者が出る」などという無根拠な

狼少年報道をやめよう。1、動物の種同士だけの感染 2、ヒト同士だけの感染 3、動

物からヒトへの感染 4、ヒトから動物への感染 1と2は実数が多くない。

 研究費が欲しい一部の専門家が、小さなリスクをとてつもなくでかいハザードに錯覚さ

せようと躍起になり、「死者六億人」などと平気で口にしてしまう。その結果、何件かの

苦情が寄せられると、例によって事なかれ主義により、日本中の遊園地から箱形ブランコ

を一つ残らず撤去したり、ダイオキシンが話題になると日本の学校すべてで小型焼却炉を

廃止し、その代わり幾多の有害ガスを大量に撒き散らす大型焼却炉を日本中に建てて”安

心”したり、という例の悪い習慣性思考停止病がまたぞろ蔓延しつつある。【本文引用】

 

 野村総研主席エコノミストを経て2003年4月から早稲田大学大学院教授をつとめて

いた植草氏。彼が女性のスカートのなかを手鏡で覗いたとされる事件は、新しい条例の効

果を喧伝するための見せしめではなかったのか、と著者は言う。手鏡で女子高生のスカー

トのなかを覗いていたのであれば、仕事と名誉の一切を失うことをわかって行ったという

ことで、心神喪失だと言える。匿名報道や無罪化をすべきでないのは、殺人事件やリンチ

死傷事件。植草氏の事件は痴漢ですらない。(その後、植草氏は痴漢容疑で逮捕されてい

る。この本は版が古いので、そこには言及はなかったが)

 

 著者は、中学・高校の部活の在り方を変えるべきだ、と仰有る。

 とくに吹奏楽を含む体育会系の部活が、全部がチャンピョンシップ精神であり、子ども

たちが純粋にスポーツを楽しむ権利を奪っている、としている。

 たしかに、野球部ならスターティングメンバーに選ばれたり、その予備に入れたりしな

かれば、三年生になっても、ずっと球拾いだけの場合が多い。

 吹奏楽でも、一向に上手くならない子は、全体練習からも外される。

 そこで著者が推奨するのが、1、部活の解体 2、学校スポーツを生徒の希望に応じて

二つに分ける。 3、課外活動の法的経済的教育的位置づけを明確にする。

 体育会系の部活に顧問として就任した教師の、時間的拘束、身体的疲労度が、多くて高

すぎるから、というもの。

 部活と畏まらなくても、生徒がスポーツに親しむ機会を得させることが大事であること。

 ここで感想ですが、著者自体が学生時代に部活動が上手く続かなかったから、こういう

ことを言い出すのではないか、と思った。負け組の愚痴ともとれる。チャンピョンシップ

精神でやってこそ意味がある、と私は思う。それ以外の形でスポーツをしたかったら個別

に市の施設を借りる方法もあるし、体育の時間にも或る程度スポーツは体験する。そして、

大学に進学すれば、同好会という技術は低いが楽しみたい、という集まりもある。

 

 本の監修のからくり。内容は本編に譲る。

 

 アテネ五輪では、観客席はガラガラだった。それは、スポーツを観る習慣がないこと(現

地の一般の人はアテネではない地方に避暑旅行に行っていたという有様)と、アテネにホ

テルの数が少なかったことから。テレビカメラは観客席をあまり映さなかった。

 

 IAEAは、言いやすい国にだけ核査察を要求する。そして、査察要求を受け入れた国の

みで核査察は行われる。日本は、無い核兵器のために査察を受け入れ、IAEAは多額の査

察費用をつかった。そのほとんどが、滞在費と飲食費。

 

「大量破壊兵器がイラクにもある」として対イラク戦争をはじめたアメリカ。結果、大量

破壊兵器はなかった。

 戦争後、主権がイラクに委譲されたことになっているが、実態はそうではない。傀儡政

権らしい。イラクのアメリカ大使館のなかに、各省庁を上から指導する米国人顧問団がい

る。新大統領のアラウィ氏は、過去30年間、国外(イギリス)の豪邸で豊かな暮らしを

送った人物。だから、イラク国民寄りではなく、米政府よりなのだそうだ。

 

 ・まとめ

 

 やはり、世間で言われていることやマスコミの報道がすべて正しいとは思わずに、隠さ

れた事実を学ぶことが大事だと思った。

 正確な情報を持っていることで、ちょっとした運・不運を左右する場面もあれば、命の

危機に関わる重大な事柄を知って対処することも出来る。また、それが、単にマスコミが

煽っているだけで、それほど緊迫していない問題であるときにも、気づくことが出来る。

 新聞でも各紙を読む、ということも大事だが、個別のネットワークも持っておくと有利

ではないだろうか。

 佐藤優氏の著作にもあったが、あまり分からないことは、まず、専門家の意見を聞くと

いうことも大事だ。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >はせおさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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