モルモン教の宣教師と交流があったとき、
彼らはボランティアをするのが修行なので、
「何か、お手伝いすることないですか」
と訊いてきたことがあった。
自宅裏の竹刈りと、部屋の掃除を、僕も一緒にするということで頼んだ。
数時間後、無事に仕事が終わった。
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せっかく手伝ってもらったのだから、お金は当時余裕がなかったけど、
何かお礼をしたい気持ちになった。
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そこで、自分の持ち物を、二人の宣教師にあげた。
ところが、人にあげるのに丁度いいものが他に見あたらなかったので、
「コカコーラについていたオマケのステッカー」と、「オークションで落札したDKNYの腕時計」を、
どちらか好きな方を選んでください、と渡した。
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これも、酷なプレゼントの仕方である。
ただのステッカーと、落札価格は220円と安かったが価値はもっとあるDKNYの腕時計なのだから、
腕時計の方がいいに決まっている。
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日本人と韓国人の宣教師は、お互いに遠慮しながら、選んだ。
どちらの立場が上ということもない宣教師同士で、韓国人のほうが遠慮して、日本人のほうが、
「それでは」と、DKNYの腕時計を選ぶ格好になった。
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実は、私は、プレゼントを出しながら、「どういう風にするかな」、「これでいいのだ」と内心思ったのである。
人生は不公平であるし、遠慮してよかった、と思うか、がめつく貰っておくべきだった、と思うか、人生の勉強である、と。
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一週間後に、聖書の話を聞きに平日に教会に行ったら、韓国人の宣教師のほうは、明らかに僕を避けていた。
酷なようだが、これが勉強なのである。
「何という贔屓をする人だ」と思ったかも知れないが、その感想は、10年後20年後には、変わっていると思う。
あとから分かる行動だったのである。
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「問い」を投げかける指導法もある。
「◎◎は、××だが、なぜだか分かるか。敢えて、今、答えは言わない」
というような「問い」である。
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こういう、人生哲学の体験学のような指導法をする人は、教師のなかにも、なかなか居ない。
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(朝日を忘れた小説家)山雨乃兎[やまめ・のうさぎ]のブログーーー総合目録
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