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ドラマ『地面師たち』全7話 完視聴(追記あり)地面師詐欺とは何か。感想とネタバレ

 監督・大根仁さん 原作・新庄耕さん 出演・綾野剛さん 豊川悦司さん 池田エライザさん他の、ドラマ『地面師たち』を、全7話観ました。
 例によって感想は、追記をお待ちください。

   追記・感想

 怖い。
 殺人シーンのオンパレード。

 地面師詐欺とは

 地面師詐欺。
 架空の土地売買話を、購入意欲のある企業に持ちかける。
 土地価格の高い物件を、土地の持ち主が売る気がないのに、土地の持ち主の替え玉を作って、本人確認を通し、企業と売買契約を成立させ、代金を振り込みや小切手などで受け取り、その金を海外の口座へ何度も移動させて足が付かないようにする。
 土地の持ち主が売る気がないのだし、持ち主は売買契約は行ってないので、法務局から不動産登記申請が「却下」される。
 クライアント(客企業)は、支払った金を失い、泣き寝入り。
 こういう構図です。

 地面師詐欺は、高度なスキル、法律の専門知識が必要な犯罪です。
 地面師詐欺は、リーダー、交渉役(売買仲介業者、不動産屋などになりすまして、クライアントとの偽の売買交渉を行う)、情報屋(高額売買されそうな土地で、クライアントが買いたいと思う土地、値上がりしそうな土地で管理の行き届かない土地や所有者の不在などの土地の情報を集めて、リーダーに詐欺を提案する)、法律屋(土地売買の法律に詳しい。売買の席で司法書士役を演じることも)、ニンベン師(偽造免許証や偽造書類を作成する)、手配師(なりすまし役を見つけて指導する)など、チームで行う。緻密かつ高度なテクニックが必要とされる。【本編より引用】

 感想(ご注意 ネタバレを含みます)

 全編を観ながら、一番思ったことは、僕は、この映画で描かれている世界の人々に比べれば、幸福だな、ということです。
 悪いことをして、しかも何億、何百億の金を得る仕事をしていると、当然仲間割れも生じます。自分たちの犯行に足が付かないように、口を割るかもしれない仲間を殺したりします。
 この映画に登場する、地面師グループのリーダーが異常なんですよ。
 完全にサイコパスですね。
 お金を儲けたい動機よりも、詐欺の犯行そのものを愉しんだり、仲間を処分するときの、人間の断末魔の表情を観ることを愉しんだり、もはや人間の所業ではないですね。

 僕の場合、今の暮らしは、毎月生活費が少し足りない、などとボヤイテいますが、いつ殺されるか分からない恐怖はないです。
 お金を沢山得るのも幸福でしょうが、いつ殺されるか分からない状況が長くつづくのなら、全然幸福とは言えませんよね。

 情報屋竹下の下でパシリとして働く、オロチが、無能なので笑えました。
 辻本が、ホテルに潜入しようとしているところで、大声で辻本に呼びかけて合流する。辻本が折角、嘘のプロフィールで一室取ろうとしているのに、台無しですやん。場の状況を把握しろ、ですよね。
 他にも、この人の愚行はいっぱい有りました。
 リーダーのハリソン山中が、この人を地面師グループに参加させないのも納得です。

 警視庁捜査二課の下村辰夫(リリー・フランキー)には、あそこで死んでほしくなかったです。
「ええ? ここで死ぬのか?」
「いや、ギリギリで誰かが助けに来る」
 と思いながら観ていましたが、殺されてしまいました。
 まあ、だからこそリアル感が増したのでしょうね。

 ハリソン山中(豊川悦司)が、一番許せない。
 人間じゃない。
 海外で狩猟をするのが趣味のようですが、だから人を殺すことにも後ろめたさを薄くしか感じないのでしょうね。
 動物を殺すことと殺人とは、一線を画して理解しているハンターが多いでしょうが、ハリソン山中はそうではない。
 情報屋の竹下(北村一輝)は、シャブの売買もしていて、自らもシャブを打っています。竹下にしてもハリソン山中にしても、快楽を追い求めているのですね。それも、より強力な快楽を。
 地面師詐欺の高額案件をやって、クライアントを陥れて大金を得る快楽。仲間を殺す快楽。そういう快楽が、一般的なセックスや麻薬の快楽より、より大きな快楽だとハリソン山中は、仲間に言ったり秘かに思っていたりします。
「こんなことアカンわ。普通に生きていかな」と思いました。

 騙される石洋ハウスの青柳隆史(山本耕史)ですが、前プロジェクト失敗のため焦って別の候補地を探していたのは分かるのですが、本人確認より先に社内決済という条件は呑んではいけないと思いました。
 結局、早くなんとしても土地を買いたいという気持ちが、隙を作ったのでしょうね。

コメント

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