苫米地英人(とまべち・ひでと)さんの、『Dr.苫米地の脱洗脳禁煙術』を読みました。
例によって、感想は追記をお待ちください。
追記・感想
この本の禁煙に対するアプローチは、世の中にある他の本とは違っていました。
著者が教える禁煙法の特徴
1「タバコ」をやめられる。
2喫煙習慣を必ずしも否定しない。
3頭がよくなる。
【本文抜粋】
驚愕! 現在日本に出回っているタバコは、「偽タバコ」である
タバコとは、ナス科タバコ属の植物のこと。
その葉を喫煙用、噛み用、嗅ぎ用として加工したものを「製造タバコ」と言う。
この「製造タバコ」のうちの「紙巻きタバコ」が、実は、葉ではなく木の幹をつかっている、と。
葉には、ニコチンはあるがタールはない。幹にはタールが含まれている。
依存性
タバコに含まれる「ニコチン」と、脳内の「アセチルコリン受容体」が関与している。
アセチルコリン=神経伝達物質
アセチルコリン受容体(レセプター)は、外界や体内からの刺激を受け取り、情報として利用できるように変換する仕組みを持った構造。
アセチルコリンをアセチルコリン受容体が受け取る(くっつく)と、ドーパミンが出る。
アセチルコリンの代わりに、ニコチンがアセチルコリン受容体にくっつく。しかもニコチンは脳内で自然に分解されないので、アセチルコリン受容体は「アセチルコリンが大量に出ている」と勘違いしてしまい、ドーパミンが過剰に分泌される。
ドーパミンが増えると意識や動機が向上。思考も促進。やる気が出て頭がよく働く感覚を得る。
ドーパミンが増えるとドーパミン抑制物質であるセロトニンも過剰に分泌。精神が安定。気持ちよく、深いリラックスを感じる。
このドーパミン感覚、セロトニン感覚を味わいたいがためにタバコを喫っている。
【一部本文引用】
ドーパミン依存自体は「悪」じゃない!
目から鱗だが、「気持ちいいことをしたからドーパミンが出た」という図式ばかりではなく、先にドーパミンが出て、その作用で食行為や性行為が促されている、という図式も同時にあるらしい。
先行刺激によって、後続する刺激に対する認知や判断が影響を受けて、特定の行動が促進または抑制されたりする。(プライミング)【本文引用】
ドーパミンを多量に出すことは、悪いことではない。そして、依存そのものは悪ではない。
依存症と言われるのは、「過度に依存することにより、自身の健康に影響している場合」と「過度に依存することにより、社会生活に影響している場合」だろう。【本文内容以前の持論】
諸悪の根源は、「ニコチン」ではなく「タール」
肺がんの主原因は、ニコチンではなくタール。
喫うのなら、「紙巻きタバコ」ではなく、「葉巻」を
葉巻には、タールは含まれていない。
葉巻は、タバコの「葉」だけで作られている。
葉巻は、依存性が強くない。
「紙巻きタバコ」を「葉巻」にスライドさせるのも、禁煙の一つの方法。
「紙巻きタバコ」の危険性
タールが含まれている。
人工ニコチンを使っている。
タバコを巻いている紙も、どうやら置きタバコしても消えないように「火薬」が入っている可能性がある。
喫煙習慣そのものを批判すべきではない
受動喫煙・副流煙は、大騒ぎするほどの問題ではなく、非喫煙者への影響も少ない。
「禁煙キャンペーン」と称して、喫煙習慣そのものも悪とし、喫煙者を排除しようとするのは、カルト集団からの洗脳を解く際に、別の宗教に勧誘するやり方と同じだ、と仰有る。まずは、何も信じていなかった真っさらの状態に戻してから、その後、無宗教で行くのか新たに他宗教に入信するのかを本人に選択させる、これが社会のあるべき姿だと。
副流煙は、喫煙者から1メートルでも離れれば、エントロピーの法則で指数関数的に煙の濃度は下がっていく。副流煙を問題にするなら、自動車の排気ガスのほうが問題だろう、と。
ドーパミンを出したいから喫煙してしまう。喫煙以外でドーパミンを出す方法
本来は、タバコを吸わなくても自然にドーパミンは出る。
喫煙依存状態で、ニコチンの依存をほかのものの依存にすり替えることで禁煙する。
・糖分を摂取。
・カフェインを摂取。
・アルコールを摂取。
・運動する。
・ほかのドラッグ(植物起源で、合法的なもの)を使用する。
【本文引用】
自己催眠による禁煙法
「マイナスの自己催眠」と「プラスの自己催眠」。
前者は、紙巻きタバコを喫いつづけることによって招く悲惨な未来を具体的に想像すること。
後者は、紙巻きタバコをやめたことによってもたらされる、現在の自分とは乖離した幸福な状況を具体的に想像すること。
禁煙期間後期に、著者が勧める瞑想「タバコ曼荼羅(まんだら)」
この本を読んでいて、苫米地さんが読者に、瞑想「タバコ曼荼羅」を実践して、自身で無限大にドーパミンを出す喜びを知ってほしい、ということを一番願われているのが分かりました。
瞑想「タバコ曼荼羅」のやり方については、本編に譲ります。
これを知って実践すれば、「タバコが吸いたい」という気持ちは、完全に無くなるそうです。
非合法麻薬で得るドーパミンよりも多量のドーパミンを得ることが出来るそうです。
まとめ・感想
他の禁煙本を読んでいても、共通して思い浮かぶことは、「何で、最初の一本を喫ってしまったのだろう」ということです。
ニコチンがレセプターに繋がって、ドーパミンが過剰に出てくるから、その後につづくセロトニン出現も含めて「気分がいい」「ホッとする」という感覚を味わいたくて喫ってしまうのです。
本来、ドーパミンは自然に出るものなのに、喫煙者はタバコを喫わないと出なくなっています。
依存の身体的原因は、ニコチン。
身体に悪いのは、タールであることが、本書を読んで分かりました。
苫米地さんは、読者が本書を読まれても、禁煙するかどうかは読者の自由だと仰有っています。
葉巻が「紙巻きタバコ」の代替になることも、私にとって新事実です。
ここまでで書いていませんでしたが、「電子タバコ」と「加熱式タバコ」は別ものというのを、調べてみて知りました。
禁煙を実行するにあたり、口寂しいなら「電子タバコ」を喫うこともおすすめだそうです。電子タバコは、ニコチンもタールも入っていません。蒸気だけです。
今回採り上げませんでしたが、タバコを喫ってしまう原因に、「精神的依存」もあります。その場合、ストレス源を取り除くか、「止観」することで意識が変わり、タバコを喫う必要がなくなるそうです。
感想としては、「タバコがやめられたら、それでいいでしょう」という内容ではなく、「いったん洗脳から脱して、それからどうするか考えてみては」「物質に頼らなくてもドーパミンを多量に出す方法があるよ」「君も幸福感に満ちた人生を味わってよ」という内容だったと思います。そういうことを惜しげも無く教えてくれる苫米地さんの優しさを感じました。
脳機能学者・計算言語学者・分析哲学者・認知心理学者である苫米地さんの、禁煙に対する新奇な切り口。感銘を受けました。内容が深かったです。
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