百田尚樹さん原作の映画、『永遠の0』を観ました。
【この記事は、一部ネタバレを含みます】
岡田准一扮する、宮部久蔵が格好いい。
格好いいなんて、薄い表現で片付けられるような格好良さではない。
戦後の自分の妻子の幸福を願い、日本国の戦後のためにも、「命を大事にしないと。生きて還ることこそ大事」という考え方を、当時の前線でも口にする。
ストーリーは、司法試験浪人の佐伯健太郎の祖母の葬儀・火葬シーンから始まります。
祖父が、実の祖父ではないことを知った、孫の佐伯健太郎とその姉の慶子は、終戦間際で特攻で戦死した実の祖父(宮部久蔵)のことを調べます。
太平洋戦争直前から、戦中に祖父と面識のあった人物に連絡をとり、それぞれにインタビューしてゆくのです。
「臆病者だった」という話が、最初の数人から聞かされて、内心幻滅する健太郎でしたが、「操縦が上手かった」「家族思いだった」という話が出てきて、最終的には、衝撃的な述懐を得ることになります。
映像は、空中戦の動画が見事です。
飛行機が、どういう線で飛んで、撃墜のときには後ろにつかれて照準を合わせられる、その詳細がわかります。
感想としては、佐伯健太郎が大学時代の同級生と一緒に合コンしているときに、同級生から、「特攻って、自爆テロと同じだろう?」と言われて反論して言い合いになって離席するシーンをみていて、同級生に腹が立ちました。今の日本があるのは、戦争で戦った先人があるからでしょう。まったく知ろうともしない。
小隊長である宮部が操縦や戦闘の技術は抜群だが乱戦になるとそこから外れて監視・援護にまわる。そういう姿勢に対して宮部に反感を持ち、模擬空戦を持ち掛けた隊員が居ましたが、宮部に断られます。ですが、実際の空で、強引に模擬空戦を煽ったら宮部が受けてきて、宮部の尻をとった隊員は、実弾を発射してしまいます。宮部の隠されたスライド飛行のせいで弾丸は機に当たりませんでしたが、その後宮部に尻をとられましたが攻撃してこなかった宮部に対して、自分の罪の意識と圧倒的実力の差を感じます。
このシーンが、一番高揚しました。
後半は、いよいよ「特攻」という国のプログラムが開始されます。
ベテランのパイロットを前半の戦闘で多数死なせていた日本は、未成年をパイロットに養成します。
表向きは、空軍のパイロット養成でしたが、生徒に隠されていましたが、その最終目的は特攻隊員になって死んでいくことでした。
その当時、生徒の訓練をしていた宮部でしたが、生徒の飛行技能テストでなかなか「可」合格を出さない。その真意は、生徒に簡単に死んでほしくないからでした。
それを知った生徒たちは、急速に宮部を慕います。
操縦技術が未熟だったため、海面に激突して死んだ兵士のことを、上官は、「戦わずして自滅する奴など兵士の風上にも置けない」と非難しますが、宮部は、その兵士のことを擁護する発言をします。
生徒をなかなか合格させないことに対して怒られたり、「命を大事にすべき」と発言したりするたびに、宮部は、上官に拳骨で何度も思いっきり殴られます。
心に熱いものを持っているなと感じました。あの時代に、本当に大事にすべき考え方を、殴られることをわかっていながら口に出来る、信念の人だなと思いました。
自分の生徒が次々と特攻で死んでいく現実。
宮部は、だんだんと鬱状態になっていきます。
宮部は、ベテランパイロットで新しいパイロットを養成する立場で、自ら志願しないかぎり特攻に出る必要はなかったのですが、最終的には、自ら志願します。
それは、戦闘のとき部下を援護できなくて亡くしてしまったことへの自責の念からだと思います。
最後に描かれる、この映画の核心部、隠されたストーリーについては言及を避けます。
是非、映画本編で確認してみてください。
コメント