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『ア・ハッピーファミリー』読了

 黒野伸一さんの、『ア・ハッピーファミリー』を読みました。


ア・ハッピーファミリー

ア・ハッピーファミリー

  • 作者: 黒野 伸一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/05/16
  • メディア: 単行本

 感想は追記で挙げますので、しばらくお待ちください。

 

   追記・感想

 

 家族小説。

 仕事に嫌気が差して(そういう理由じゃなかったかな。詳しくは本編を)会社を辞

めてしまったお父さんと、そのお母さん(祖母)と、お父さんの奥さん(お母さん)

と、外で一人暮らししている社会人の長女、家族と同居のマキちゃん(姉)と私(ミ

キ(違う名かも、詳しくは本編を))と弟・源五郎と末娘(名前忘れました)との大

家族の生活と、主人公の学校(中学校)で起こる出来事を描いた作品。

 亡くなった祖父の遺産と、お祖母さんの年金と、お母さんの在宅ワークで

生計が成り立っている訳です。

 

 体格の差によってイジメの対象になったり、人に注目される(美形だが、少し太っ

ている容姿)が、周りの羨望からイジメられる原因になったり、と、ともかくイジメ

られる事は、どこの学校でもありがちなのだと思った。(イジメが殆どないという学

校もあるとは思うのです。例えば、私の住んでる地域の隣の市の、或いは隣の学区の

学校では、イジメは殆どなかった、と聞きました。が、まあ、それは、さておくとし

て)

 

 主人公は、誰とも与(くみ)しないでやっていく、という考え方。

 ところが、イジメられている女子と喋ったことから、クラス全員からシカトされる

状況に…。

 主人公は、弟・源五郎がそのクラスメートと二年の男子からカツアゲされているこ

とを知り、助けようとするが、弟は、姉には助けてほしくはないから拒絶する。

 社会人の姉が恋人を連れて、実家に結婚の申し込みに来たり。しかし、お父さんと

は大喧嘩に…。

 主人公のすぐ上の姉、マキちゃんは特に原因がないのに精神を病んで、家庭内で事

件も起こる。

 

 オット、これ以上は粗筋を書きませんね。

 年長の主人公が弟を思いやる気持ち。また、年上でありながら病んでいる姉を労る

気持ち。それに、友人に抱く、鬱陶しいという(誰とも深く関わらないで、人を傷つ

けないかわりに、自分も侵襲されたくないという)心。中学生なりに捉えた人生哲学

の語り合い。等が、読む者の胸を現在進行形で苦しくさせる。葛藤が描かれている。

感情移入させられる。

 ああ、自分の家族の場合も、こんな精神的な助け合いはあったなぁ、と、ほのぼの

ともさせられる。

 

 葛藤が描かれていてこそ、文学だと云える、という事を誰かが書いていた。

 主人公が著者とは違う性別で、時代が現在で、書かれた時期も現在で、なのに主人

公が中学生で、著者は40代。

 なのに文学。

 私の書く書き方なら、自分や知人のキャラクターやエピソードを半分混ぜて、キャ

ラクターに投影させて書くのだが、この作者は、文学を、内面の葛藤を、全く始めか

ら創り上げたキャラクターで書いている事になる。

 中間小説やエンターテインメントなら、そういうやり方はよくあるのだが、文学で

それをやっている事になる。

 或いは、登場人物の主人公の父か、主人公の弟に、自身を投影させて、後は、中2

女子の主人公に成りきって書いているのだろうか。

 

 物語りを進行させる文よりも、心内描写や現在進行形の起こっていることの描写が

多い。つまり、ディテールの積み重ねだ。

 そうだからこそ、胸にほのぼのと来る作品になるのだろう。

 

 楽しく読めました。

 全然感想になっていない(論考のようになってしまいました)ですが、以上です。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >りぼんさん
    ナイスを有り難うございます。
    書評掲載まで少しお待ちくださいね。(^。^)

  2. 山雨 乃兎 より:

    >shinさん
    ナイスを有り難うございます。
    ご無沙汰して済みません。(^。^)

  3. 山雨 乃兎 より:

    >ほりけんさん
    ナイスを有り難うございます。
    先生なんですね。また、一度ゆっくりお寄りします。(^。^)

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