京極夏彦さんの、『旧怪談(ふるいかいだん)』を読みました。
例によって、感想は、追記で挙げますので、しばらくお待ちくださいね。
追記・感想
耳嚢(みみぶくろ)という江戸時代に書かれた伝聞を集めた書物を、京極さんが現代語で、ときには話者をつくり、話者に語らせる語りかけ調の文体で蘇らせた本です。
物語りに出てくる人物の役職や生業の内容なども、現代風に置き換えて書き換えてあったりして、構図が想像しやすくなっています。
火の玉とか、憑依など、やはり怪奇現象が多く出てきます。
それと、短編を全部読んで思うことは、やはり江戸時代、病気で若くして亡くなるということが多かったように察しられます。(現代ほど医学は進歩していなかったんだなぁ、と、つくづく思います)
それに、使用人が病気になっても恢復するまでポストを残したまま待ってやる、というお話しなどもあり、江戸の人々の人情を感じました。
京極さんが訳された(創られた、と言った方がいいかな)現代語での作品の後に、基になった耳嚢の原文が紹介されています。これも、読むと昔の文のリズムが感じられて楽しいです。(京極さんの本編にも、出典の文章にも、ふりがながふってあるのですらすらと読めます。この本も、漢字を覚えるのにも良いですね)
ストーリーは紹介しませんね。(実は、殆ど忘れてしまったという事もありますが。小説は、僕の場合、読後ストーリーを忘れてしまうことが多いです(苦笑))
全編、ただ怪奇だ恐い、というだけではなく、人間としての生き方、人生訓のようなものが内包されていて寓話的です。
現代は、科学が進んで夜でもどこでも電気で照らせるから剰り幽霊には出会いませんが、人間に猫が憑依して猫そのものの姿になるなんて事も、実はまだあるのかも知れないなぁ、と思いました。
一話一話が短いので、気楽に読めて、旅行電車の乗り継ぎとか待ちあわせの待ち時間に読むのが最適だなぁ、と思いました。
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