中田永一さんの、『吉祥寺の朝日奈くん』を読みました。
感想は、少し遅れますので、追記をお待ちください。
追記・感想
最初にエクスキューズですが、私この本を、殆ど終わりまで一気に読んでいながらその
地点で読むのが止まり、他のことにかまけて二週間くらいつづきを読みませんでした。
なので、相当読むのに時間がかかってしまい、最後尾の短編以外、殆どストーリーを忘
れました。
お許しくださいね。
短編集です。
文学ともエンタメとも言える作品群。
『交換日記はじめました!』では、交換日記が当事者の思いとは関係のない他人の手に
移っていくストーリー。
最初の恋愛のための交換日記が、だんだん別の伝言板的な内容に変化していきます。
最後にきて、意外な事実が読者に知らされる。
滑りだし読者には疑問を持たれないようにしてその事実は隠しているんですよね。
というか、嘘はつかないけれど、あえて言わない。だから読者は一般的な類推で人間関
係を捉えてしまって疑問をそこに挟まない。
それで、「ええ?」と思うような事実が最後に出てくるわけです。
流石です。
『ラクガキをめぐる冒険』は、ちょっとした冒険をふりかえる物語り。
恋愛ではないにせよ、気になる存在同士のクラスメートが或る大胆な行動を偶然に同時
に起こすのですが…。
この物語りも、或る決定的な事実が最後まで隠されていて、それが後日談として明かさ
れる。
『三角形はこわさないでおく』は、友情と恋愛との板挟みの葛藤を描いた作品。
人間の心理を描いた文学です。
学生時代(高校生の頃)というのは、こういう風に考えるものなのだな、と思いました。
私個人は、真剣に友情について考えていなかったから青春時代に戻って追体験しているよ
うに感じました。
『うるさいおなか』は、タイトルどおり、お腹の音の話しです。
こういう決定的に普通の人とは違う生理・性質を持っているというシチュエーションが
物語りを面白くしています。
そういうお腹をしているからこそ、悩み、女性の心理のさらけ出しを描くことができる。
独白調の文体です。
さて、最後尾の短編、『吉祥寺の朝日奈くん』ですが、都会の一人暮らしの男性主人公
が、喫茶店で働く人妻とだんだん距離が詰まって恋愛関係になるという大筋のストーリー
なんです。
一体、どこまでが浮気と呼べるのか等を真剣に悩んでみたり。
随分、純粋な主人公なのでどんどん感情移入してページを繰るスピードも上がるのです
が……。
またしても、後半で、読者を裏切る設定の隠し球が。
「何だ、そういう事かよ」と、本を投げ出す読者も、ひょっとしたら居るかも(笑)。
私の場合は、自分に多少垢もついているので、面白く読めました。
大人になってから舞台を中高時代や大学時代に設定して自分が過去に戻ったつもりで書
く小説。過去の自分に向けた手紙と言えるのかも知れない。勿論、完全なフィクションの
場合もありますが、それでも、なにか懐かしいような胸くすぐられるような気分で書けま
す。
今回のこの本、人間の心が充分に描かれていてよかったです。
さらに、隠し球で裏切られっぱなし。
エンタメとしても読めます。
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コメント
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>えんや さん
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