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褒めてしまう山雨

 人は、他人のことを簡単には褒めない。

 褒めないからといって、他人のよい点をわかっていないわけではない。

 内心、感心したりしても、言葉にするのは躊躇してしまうのだろう。

 私は、たとえば、或る友人が体調がわるいにもかかわらず懸命に生業の仕事をしていたりする現況を見ると、

「せやけど、君は、よう頑張っとるなぁ」

 と、思わず言ってしまう。

 たとえば図書館でも、或る図書館に行くと応対が丁寧でいつも行くだけで気分がよくなるので、その感謝の気持ちを職員に言ってしまう。

「いつも、きちんと対応して戴いて、この図書館に来ると毎回気分がよくなります。嬉しいです。」

 と。

 たとえば、スーパーでも、店員によっては、その人が応対してくれるだけで気分がよくなる店員がいる。

 いつも、穏やかな笑みを浮かべていて、仕事の仕方もバタバタしない。

「アンタは、ほがらかでいいなぁ、アンタに応対してもらうだけで気分がよくなるわ」

 と、思わず言ってしまう。

 その代わり、苦情を言うときも、かなりはっきり言うが。

 普通のレベルのことが普通に出来ている人が少ないからだろうか、きちんと対応されると、それだけで嬉しくなる。

(ああ、この店に来てよかった)と内心思う。

 別に、店員や職員と恋愛関係に発展するということなんかまったくなくても、すがすがしい応対をされるだけで、その日の気分が上向く。

 頑張っている人には、

「最近も、よう頑張っとってやねぇ」

 と言う。

 言ってしまうのだ。

 人と会うと、普段その人が取り組んでいることをまず話題にし、

「ようやっとってやねぇ」

「最近、あっちの方はどうだい?」

 と自然に会話する。

 褒められていやな気分になる人は居ないだろう。

 ところが、これが、褒められても、上から目線で評価されているように感じる人もある。

 だから、褒めるのもむずかしい。

 タイミングと相手を見る目が要る。

コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター・スイートさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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