『オトコの心得』読了(追記あり)

 徳大寺有恒(とくだいじ ありつね)さんの、『オトコの心得』を読みました。


徳大寺有恒のオトコの心得

徳大寺有恒のオトコの心得

  • 作者: 徳大寺 有恒
  • 出版社/メーカー: 金沢倶楽部
  • 発売日: 2020/05/31
  • メディア: 単行本

 感想は、追記をお待ちください。

 

 追記・感想

 2004年、8月の版だから、本編に書かれていることと社会的状況も変わってはいる

のだが。たとえば、フューエルセルの車についても、この当時は研究段階だったが、どう

やら今では実現しているようだ。

 徳大寺有恒さん、プロフィールを拝見すると、1939年生まれ、となっている。今年

72歳ということか。

 本編のなかで、「自分はぶおとこだから」を繰りかえされるのだが、勿論謙遜もあると

思う。しかし、自身のことをそう認識しているだけに、「オシャレには、人一倍気を遣わ

れて」きた、と仰有る。

 その辺が、相手に対する気遣い、というやつだろうか。

 人に好印象を与えるかどうか、気になさる。

 人間関係の殆どが第一印象で決まる、とは、よく言われることだが、徳大寺氏は、決し

て人間関係が第一印象だけで決まってしまうものではなくて、あとあとで充分に理解して

もらえるのも可能だ、と自説を展開される。だが、第一印象には気を遣われるようだ。

 たとえば、真冬には、出会った人が「あの人、暖かそうだな」と思える服装をすること

が大事とか。

 男には、そこまでは言ってはならない言葉というものがあるので、そこをわきまえて我

慢するのも大事だ、と仰有る。いやはや、その点では自身のことを顧みると耳が痛い。

 『謝る』という項では、自身に非があった場合に、袖の下などを持って行くことをせず、

ひたすら謝るということに徹しなければならない。と仰有る。それがなかなか出来ないこ

となのだが、男にはその姿勢が大事なのだと。

 出会いと別れ、の項では、ご自身の女性遍歴が語られる。

 どうやら、社会的によくない関係というのを何度も経験されているようで、しかし、男

女の出会いというのは起こってしまうもので、ウソをつくことも必要、と仰有る。お互い

知り合い同士で、そこで異性を紹介される場合、そのお互いが知る人といけない関係にな

ってしまうことがある、と語られている。つまり、たとえば、友人の妻といい関係になっ

てしまった、という経験があるようである。

 私の場合、こういうことは率先してはできない。しかも倫理的に悪いとわかっているの

で自分にブレーキをかけてしまう。徳大寺氏の場合は、そういう密会があってもいいもの

だ、という考えである。

 まあ、そういうことが上手くできる人と、極端に心の負担になってしまう人が居るのだ

から、自分を見極めてから、そういう行動をとるようにするしかない訳だが……。

 ファッションや酒や車、洋服、料理屋の嗜好がたくさん語られているが、今の私には、

少し遠い世界のことに思える。押しも押されぬ書き手になったからこそ味わえる世界なの

だろう。

 ロンドンで、ブリストル405という稀少な車に出会われた話しも出てくる。

 いかに、車に対して思い入れがあるかを窺わせる記述だ。

 徳大寺氏の場合は、名車だけが好きという訳ではないのは、以前からの周知ではあるが。

 男の格好良さ、という論旨では、歴史の知識・教養があるのが男である、とも一部書か

れていた。男というものは、眉目秀麗であっても、それだけでは薄っぺらいものだ、と。

 感想として思うことの一つは、徳大寺さん、よく車で、一日でそれだけの距離を移動さ

れるなぁ、と、そのタフさに敬服した。たとえば、一日で関西から関東まで車で行くのも

厭われない。

 ダンディーな男は、煙草ではなく、シガー(葉巻)かパイプをやるべき、とも書かれて

いた。それは、吸い殻がいこっているなどの美的でない状況を創りださないほうが恰好い

いから、という理由。

 ご本人も、晩年にはいられて、いよいよ、旅を愉しんだり、執筆に明け暮れる日々を満

喫する生活にはいられる様子である。

 ダンディーな人は、ベースには意識的な普段の配慮があるのだ、とわかった。

 では、また。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >xml_xslさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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