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学研のふろく

 過去の思い出記事です。

 たしか、小学校二年生ぐらいの時期だったと思うのですが、

学研の雑誌『科学』と『学習』ーーーあれ?別々ではなく『科学と学習』だったでしょうかーーーの、ふろくで、振り子時計があったんですよ。

 横に長い棒、支点が中心にあって、左右にふれることで、1秒動く、というもので、

それが、キットになってるんですよ。

 僕は、幼い頃から、時計が大好き。

 ふろくで、自分で時計が作れるなんて、夢のようで、嬉しくて。

 さっそく作り始めました。

 ところが、

 これが、作るのが、メチャむずかしい。

 よくもまあ、小学校二年生向けに、こんなむずかしいふろくを付けたものだ、と、幼い当事者ながら思ったのでした。

 自分で作ってて、「でけぇへんのや」とぼやきながら、それでも格闘しましたが、

 ついに、

「こんなもん、知らんわーー!」

 と、作りかけのキットをフスマにぶつけて、外へ気晴らしに出かけたのです。

 ですが、気晴らしに道路を歩いていても、

やはり、自分が、あのキットを完成させられなかった、というのが、劣等感としてのしかかってきて、気分は晴れませんでした。

 その頃の僕は、学校で神童とうたわれていて、全ての教科、クラスで一番だったものですから、日頃から内心に優越感を持っていたのだと思います。

 といっても、まわりを馬鹿にするような態度はとりませんでしたが、

ともかく、自負心があるのに、そのキット、小学2年生用に販売されている振り子時計が作れなかったということが、我ながら情けなく、屈辱だったわけです。

 もう、家に帰ったら、そのキットは捨てる気でいました。

 家に帰ってみると、次男か三男と父が、

キットを完成させて、その動きを楽しんでいました。

 左右に長い棒が振れるのですね。

 楽しそうですね。

 電池で、正確に動くし、時計だしね。

「アンタら! 何で、出来たんや!?」

「作ってくれて、ありがとう」ではなく、「勝手に作りやがって」ですね。(笑)自分が出来ないことを他人が出来ているのが腹立たしい。

 すると、父が、

「そら、ゆっくり作ったら出来るわいな。良一は慌てるからや」

 と言ってました。

 そこで、僕、

「もう、そんなん要らんわ!」

 と激怒。

 親に手伝ってもらったことは認めるけど、自分に出来ないことはない、と思っていたので、ギャップで爆発。

「ホンマ!? 兄ちゃん、要らんの?」

 と弟。

 傍で見ていた母は、

「兄ちゃん、要らんねんて、アンタもろとき」

 と弟に言って、その振り子時計は弟のものになってしまいました。

 もう、気分わるいですよね。

 やけくそですね。

 学習研究社も、もっと年齢にふさわしい付録をつけないと。

 ひょっとして、今でも、目の前に呈示されたら、作れないかも。

 もーう、腹立つ、夏の思い出。青春の煩悶ですね。

 では、また。

コメント

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