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可笑しな気候

 11月16日の深夜なのだ。

 こんな時季に、ハエが居るのだ。

 コーヒーカップにたかったのだ。

 殺虫剤で殺そうと、ムカデ用の凍結させる殺虫剤を噴射したのだが、ハエは、素早く逃げた。
 その後、麦茶の氷入りのコップにも、コーラを入れているコップにも次々とたかり、その都度殺虫剤を噴射したが、反射神経抜群のハエは、またしても素早く逃げる。

 仕方がないので、とりあえずコップを洗ってくることにした。
 コップを4個手に持って、母屋につづく戸を開けると、蝉が鳴いている。

 ツクツクボウシだ。

 どうなってるんだ。今は冬だぞ。

 よく確認してみると、蝉が家の裏で鳴いているのではなく、リビングで点けっぱなしになっているテレビの音声だったようだ。

 母は、耳が遠い。

 今から、また、新しいコーヒーを作ろうとしているが、
どうせまた、潜んでいるハエが出てくるのだろう。

 ゆっくりさせてくれよ。

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