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映画『焼肉ドラゴン』完視聴(追記あり、ネタバレ含みます)

 監督・原作・脚本 鄭義信 出演 真木よう子 井上真央 大泉洋ほかの、映画『焼肉ドラゴン』を観ました。
 例によって感想は、追記をお待ちください。

   追記・感想

【ご注意! この感想は、ネタバレを含みます。】

 丁度、前回の大阪万博の頃だから、1970年前後のお話です。

 空港に近い土地に、バラック住宅で住んでいる、主人公家族。
 主人公は、息子の時生。中学生です。
 お父さんは、北朝鮮から移住してきた人。日本軍の徴兵に駆られて戦争に行き、左手を無くして帰ってきた。

 焼き肉屋さんをやってるんですね。お父さんは。
 お父さんとお母さんは、二人とも在日朝鮮人です。二人とも再婚で、それぞれに連れ子が居ます。たしか、姉三人、弟一人です。
 時生は、現在の両親の子。

 姉が、それぞれに個性的で、奔放に生きている。
 姉それぞれが結婚に至るストーリーが見物です。
 哲夫という同じく在日朝鮮人が、たしか二番目の娘と所帯をもっているのですが、実は、哲夫は長女が好きで今でもその思いを捨てられない。

 哲夫が、自分の気に入った仕事がないからなかなか就職しない状況のなか、次女は浮気に走る。
 ともかく、全編シッチャカメッチャカです。家族内の殴り合いの喧嘩も起きるし、場末のドロドロ低階層生活ですね。

 お店の名前は、お父さんの名前が龍吉なのでドラゴンなんです。
 でも、本編では、第三者のお客さんの来店シーンがほとんど無かったですね。あれで経営成り立っているのか、と思いました。(ストーリー進行のために、常連と家族だけを描いたのかもですが)

 一番の核となるエピソードは、時生が自殺してしまうこと。
 折角受かった私立の進学校、中学に、通い続けるべきだというお父さんの判断が間違っていた。
 時生は、学校で大人数からいじめられており、そのせいで失語症になったほどでした。
 時生が死ぬ場面は、「ここ、泣くとこだろうな」と制作側の意図が分かりましたが、僕は泣けませんでした。随所に泣き所が用意されていましたが、「可愛そうだな」とか「辛いよね」とは思いましたが、泣くほどではありませんでした。
 在日朝鮮人とは、僕は、逆に、在日朝鮮人から長い間いじめを受けていたので、在日朝鮮人のほうがいじめられるという設定は、僕の感覚からは不自然だったから、というのも泣けない事情でしょう。
 ですが、暴力的になる在日朝鮮人には、日本人にやり込められてはいけないという思いから、そうなっているのだと思います。

 もう一つテーマとして描かれているのは、立ち退きが強制執行されてしまう場面です。
 差別とか生活苦とかが在日が日本で生きていくには立ちはだかるのだな、と、理性的に理解できました。

 哲夫が、長女と再婚し、「おれは、北へ行く」と言い出すのですが、僕には何故なのか理解できませんでしたが、あの当時は、北はユートピアだと信じられていたのかもですね。

 哲夫が、長女に対して心の負債を抱えていたり、それぞれの登場人物にバックボーンがあって、全体のストーリー進行と同時に描かれているので深い映画です。

 すべての俳優が全身で体当たりした、渾身の演技でした。
 是非、本編をご鑑賞ください。

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