監督・脚本:内田英治さん 主演:阿部寛さんの、映画『異動辞令は音楽隊!』を観ました。
例によって感想は、追記をお待ちください。
追記・感想
主人公の内面の苦悩を描く(感想)
【ご注意 この記事は、ネタバレを含みます。】
予想していたのは、もっと単純なストーリーだったんです。主人公が音楽隊へ異動を命じられて、演奏を頑張って楽しかったね、みたいなね。
ところが本編は、もっと複雑なストーリーが入り組んで進行していきました。
要素としては、まず、親の介護をしながら生業に邁進するしんどい現実。
主人公の、「刑事」という仕事に対する矜持。
コンプライアンスを重視するようになった現在の風潮への問題提起。
人を裏切ることの虚しさ。
きちんと謝罪することの大切さ。
腹を割って要求や意見をぶつけ合うことで、さらに深い関係を築くというコミュニケーションの大切さ。
プロとしてお客さんに音楽を提供するために、猛練習が必要なこと。
チームワークが大切であること。
問題が予期できるときには、事前に問題が起こらないようにする迅速な対応の必要性。
年の離れた人間関係でも、深い心でのつき合いが出来ること。
こういうことが、全編を通して描かれていました。
冒頭から前半までのシーンを観ていて、「わあ、今でもこんな叱り方する人居るんだ。あれじゃあ部下も付いてこないだろう」と思いました。
それ位、熱血刑事。それが主人公。
部下に対するそういう言動が元で、警察内部の投書で左遷されてしまいます。
その行った先が、警察音楽隊。
しかし、音楽隊に行ってからも、今まで追いかけていた事件に進展があると、現役捜査班に強引に顔を出し、排除されるを繰りかえします。
音楽隊の若いシングルマザーと腹を割って飲んだあと、店に警察手帳を忘れてしまって、シングルマザーが家まで届けてくれるのですが、そのときの主人公の落ち込み方が酷かった。
「自分は、長年刑事として誇りを持って生きてきたのに、警察手帳を肌身から離すなんて、職業意識が低下したのか。そんなに老化したのか」と、恐らく思ったのでしょう。
「音楽隊に異動させられて、不本意な情況に自棄を起こしているが、もう警察官としてもどうでもいいと、おれは内心で思っているのか?」そうも思った筈です。
音楽隊のストーリーと同時進行する犯罪(見どころ)
本編で、テーマとして出てくる犯罪が酷い。今よく有る犯罪です。
お年寄りを狙って、警察を装って電話し、現金貯金があるか、保存場所はどこか、を聞いて、直後に、「宅配便です」と言って玄関を開けさせ襲撃する、というものです。
これは酷い。
本編後半で、刑事たちに取り囲まれた事件の黒幕(ボス)の身柄確保を拒否するときの反撃が凄かったです。
もっさりした低身長の中年の男です。それが、あの格闘力。
武道なんてやっているような身のこなしではないのに、反射動作が速い。身近にある物は何でも利用する。パンチが重い。
喧嘩慣れしているんでしょうね。実際の格闘場面では、武道経験より的確な打撃力、的確な身のこなしの方が大事だと思いました。喧嘩にルールなんて有りませんから。
強い悪役を充分に演じていました。演出家がいいですね。
発表会などで演奏するシーンも、練習で演奏するシーンも、実際に役者さんが演奏しているように自然な楽器操作に見えました。
阿部寛さんを含めて、実際に演奏したのかもですね。
音楽動画としても楽しめます。
警察音楽隊の存在意義
全編を通しての感想としては、登場人物一人ひとりの心の動きを、各人の言動で充分に表現している、その意味で文学的一面もある映画だと思いました。
良い演奏を披露することは、人のためになっているんだ、と改めて感じました。
シングルマザーの楽団員の女の人、トランペットでもの凄くいい音出します。細かいフレーズもバッチリ演奏しきる。完全にプロレベルです。
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