東京駅に着いた。
金は充分にある。
とりあえずはねぐらの確保だ。
まずは、友達を作る動きにつくつもりだし、(デビューするにはバンド形態の方がいいかも知れないなどと思っていた)そうなれば、渋谷がいいか、と思って、僕は渋谷を目指した。
大阪の環状線と同じように、東京の山手線は環状に走っていることは知っていた。
しかも、他の地下鉄とかは、どう駅ごとのアクセスになっているのかまるで分からない。
JR山手線の地図を見ると、渋谷駅はあった。
正直、ほっとした。
僕は、山手線に乗り、渋谷に向かった。
人は多かったが、当時の僕は神経症でもなく、人混みも堪えなかった。(不眠症はあったが)
渋谷で降り、泊まるところを探した。
駅前が凄い人口密度。
ハチ公前とか、よく、待ち合わせに使われているところなのだが、そのハチ公さえ、人だかりで見えない。
いつの間にか、山手に来ていた。
それが、何坂というのか今でも判らないが、とにかく坂の途中にあるシティーホテルにチェックインした。
凄く立派なホテルだった。
金は三十数万有る。
焦ることはない。
夕方四時頃からチェックインした僕は、まず、近所を歩いてみた。
坂の途中に喫茶店があった。
僕は、喫茶店で、マスターと喋り、「田舎からミュージシャンになる為に出てきた」と内情を打ち明けた。
「ちょうど、ウチの最近の知り合いで田舎から君と同じようにミュージシャンになると云って出てきた子が居るよ。彼、今日仕事だから、また、明日、彼と会ってみたらいいよ。しかし、最近多いね。ミュージシャンになるって出てくる子が。彼は大阪からなんだけどね」
と、マスターは語った。
「どこに泊まってんの?」
「ええー、結構いいとこに泊まってんじゃない? 金有るんだー」
と、マスターは言った。
僕は、店を出て、坂の上まで歩いてみた。
坂の頂上に音楽の練習スタジオがあった。
ここは、都合がいいなあ、と僕は思った。
僕は、部屋に戻り、ゆっくりしてから、渋谷の街が見下ろせる部屋でぐっすりと眠った。
*次話は、こちら→ 『第一回、東京家出の記』5
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コメント
山雨さん、頑張ってグランプリに間に合わせて下さい!
応援してます^^
>岩上さん
既に脱稿している作品を出そうと思っています。
今書いてるのもありますが、完成しそうにありません。
応援ありがとうございます。
頑張ります。(^。^)
頑張って下さいね~^^
自分も「擬似母(ぎじぼ)」頑張ります