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『格差社会スパイラル』読了

 山田昌弘さんと伊藤守さんの共著の『格差社会スパイラル』を読みました。


格差社会スパイラル コミュニケーションで二極化する仕事、家族

格差社会スパイラル コミュニケーションで二極化する仕事、家族

  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2007/03/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 本文の内容が一番言いたがっていることの裏に、昔からは変化してしまった社会観念が当たり前となった社会の危うさを、この著作の中ではご両人が述べられています。

 日本では、新卒での就職に失敗すれば負け組にはいって、そのスパイラルから抜け出れない、という現状。

 父母が勝ち組であったか負け組であったかによって、その子の将来も同様に引き継がれる。お金持ちは教育にもお金をかけられる、という現状。

 アメリカでは、どんなに一旦負けても、再就職が割に楽にできる。北欧の国では、弱い人にも保障が充実している、という事実。

 30歳を過ぎて未婚の女性の場合、その後50歳になっても独身でいる人の割合(日本の場合)が50パーセントであること。

 そして、ニートやフリーターが、幻想を追いかけていること。それにしか、しがみつく術がない、と書かれています。この部分は非常に堪えました。確かに、実現可能か不可能か分からない夢に永い時間をかけているのは客観的に観て虚しいというのは事実です。

 若い世代で、学歴が低い人でさらに、現在低所得者である人は、理想で行けば、高所得者を伴侶にすればいいのですが、そうはいかない。理想の高い人は理想の高さを相手にも求める。経済的に圧迫されて(学歴がないので高収入の仕事に就けず、若い内に子供を作ってしまって夫婦共が苦しむ羽目になる)子に自分たちの子供時代の境遇しか与えられない、という現実。

 そういうことにならないようには、コミュニケーション力(相手が思っていることをいち早く見抜いて、相手の気持ちになって行動をとれる能力)を磨いて、実現可能なことを勉強し、意志疎通を図ることが大事だと。(会社内でも、家庭でも、友人間でも)

 少し感じたのは、この両著者が言っている相手が何を欲しているのか訊くという態度は、アメリカの実例を手本にしたように感じました。

 いづれにしても、社会保障を充実して、底辺の生活に陥った人にも最低限の生活を保障するように国が制度をつくるか、アメリカのように、年齢には関係なく夢を見ることができる社会にするか、の必要があると、両著者は述べていました。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >はっこうさん
    ナイスを有り難うございます。(^^

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