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佐村河内守『交響曲第一番』読了(追記あり)

【加筆】見事に、騙されました。管理人の騙され具合を、お楽しみください。 

 佐村河内 守(さむらごうち まもる)さんの、『交響曲第一番』を読みました。


交響曲第一番

交響曲第一番

  • 作者: 佐村河内 守
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/11/01
  • メディア: 単行本

 感想は、明日、追記でアップロードしますね。

 追記をお待ちください。(^。^)

 追記(感想)です。

 ほとんど、ネタバレになる書き方になってしまいましたが、それでも、この本を実際に読まれるのとはほど遠い違いですので、ご安心ください。

 幼い頃からピアノに大変関心を持ち、四歳になってからお母様の厳しいピアノレッスンを受けられたそうです。

 音楽大学に行くと、調性音楽ではなく不協和音を駆使した現代音楽の作曲の道に誘導されてしまう、という危惧から音大進学をかたくなに拒み、東京で劇伴音楽の作曲家への道を模索されました。

 高校二年生の頃から、突如はじまった酷い偏頭痛の発作。

 上京中に、弟の突然の事故死の訃報を聞く。

 その後、耳鳴りが酷くなり、偏頭痛の発作のときにそれが表れるので、医者に行くのを後回しにしていたら、突発性難聴と診断され、医者にかかるのが遅すぎた為、「絶対に治らない」と医者に宣告を受ける。

 その後、ついに耳が全く聞こえなくなる。

 音大を出ていないことで、プロデューサーがマトモに相手にしてくれない等の辛酸をなめながらの自作の売り込み。

 自作がオーケストラで演奏されても、それを聴くことができない歯がゆさ。

 発作が益しな段階では、生活の為に道路清掃の仕事もされている。

 毎日つづく耳鳴り発作の為、精神的な病気にまでなられた。苦痛から逃れる為に自殺未遂までされている。

 何故、自分だけが、と神を憎み、しかし、音楽だけはつづけることができた、しかも、無音の闇の中からこそ自分の内面の本当のものを作曲することができるという矛盾、そして、同じ神への感謝。

 不協和音を嫌っていた自分が、人間の絶望(実弟の突然の死去を知らされる)に遭遇した時に、頭のなかに響いたのは、まさしく不協和音だった。

 ご両親は、原爆体験者であった。被爆二世として、「原爆の音」「闇の音」を紡いでいこうという思いになられる。また、ご自身の突発性難聴や偏頭痛(ほとんど症状として、群発頭痛と私は認識しました)、轟音にまでなる耳鳴りの発作。こういう病気の原因が被爆二世であることに原因していないとは断言できないと仰有るお医者さまも居られるそうです。

 何という凄まじい人生でしょうか。

 苦が多いのに、音楽に対する執念はもの凄いです。

 全聾になられてからは、記譜の実験をされ、既存の交響曲を最初から終わりまで譜面に起こしてみて、実際のスコア譜と違いがないかを何度か確認され、絶対音感が備わって(長い音楽修行のおかげで身について)いることに気づかれ、楽器の音に頼らないで作曲されるそうです。

 後半のエピソードで泣かされました。それは、精神科のカウンセリングで、症状が改善した、その経緯を医者に語ったところ、医者は涙を流して喜んでくれた、という記述です。又、症状が後退したときの報告では、医者は、「お辛いでしょう」と、また涙を流される。こういう相手の思い(立場に)なって本心から泣く(仏教ではカルナーの心というのだ、というのを五木寛之さんのエッセイで読んだ記憶がありますが)純粋な人の思いに、そして、そういう人が居ることに、私自身読んでいて泣けてしまいました。

 本書の曲目録によれば、佐村河内さん、その五木寛之さんの旅番組の音楽も手がけておられます。

 現在は、発作が酷くて、そして、いつ発作に見舞われるか判らないので、隠者の生活(生活範囲を狭めて、創作中心にする生活)をされています。

 私と同じ年齢で、こんなに苦しみの中を生きていた人が居られたんだ、と驚嘆しました。そんな具合の悪い身体なのに、福祉のボランティアに出られたりもされているし、何より、他者の為に生きようとされている姿勢に、頭が下がる思いです。

 書評ブログを廃止しましたので、書評ブログの方にだけコメントを頂いていた方のコメントを転載しておきます。

佐村河内 守(著)「交響曲第一番」

初体験の衝撃と感動。

まさに心服の極み。
by ナムナム (2008-04-29 20:03) 

山雨 乃兎

>ナムナムさん
コメント有り難うございます。(書き込みが遅れて済みません)
「交響曲第一番」をお聴きになったのですね。
僕も一度聴いてみようと思います。
by 山雨 乃兎 (2008-05-11 23:17) 

コア

ニュース23で佐村河内守さんを知りました。
それまで全くのノーマーク(藁

本当に素晴らしい天才は存在するんだ、と身震いを覚えました。

もうすぐ自伝をゲット予定!
by コア (2008-11-22 21:36) 

山雨 乃兎

>コアさん
ご訪問有り難うございます。
私も、近隣の図書館でこの本を目にするまで、佐村河内さんのことはまったく知りませんでした。
こんなに、苦痛を常時抱えながら精一杯、作曲活動にも邁進しておられる方が居られたなんて、私などは、自分の甘さを思い知らされました。
私は、佐村河内さんのホームページに行って、曲の一部分を聴いただけですが、独特の音楽世界です。小遣いに余裕ができたら是非ともCDを買いたいと思っています。
同じ昭和38年生まれの鏡だと思います。
本の到着が愉しみですね。^^
by 山雨 乃兎 (2008-11-22 22:17) 

まき

恥ずかしいけど私もう精神病院通院歴も長ーくて、もう死んじゃいたいってよって思ってた時にTBSの佐村河内守さんのドキュメントに出合ったの。私より何百倍も辛く苦しみ抜いてる人が成し遂げる偉業・・・・・・私、生きる!って思った!その瞬間から私の周りに光が溢れ出したよ!本当に有り難くて二日間くらい嬉し泣き通し(T_T)佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん佐村河内守さん本当に本当にありがとう(_ _)
by まき (2008-12-16 01:29) 

山雨 乃兎

>まきさん
コメント有り難うございます。
私などより、幾倍も苦痛を受け続けてきた佐村河内さんが、交響曲作曲という偉業を成し遂げられていると思うと、励まされます。
何よりも、目的達成の為の執念を感じます。
出来ることから少しずつの努力をしていると、まきさんにも必ず、生きていてよかったと思える日が来ますよ。僕も含めて、調子が悪い状態のときに、焦るのは禁物です。誰かが、貴方のことを分かってくれています。恵みの日が、必ず、やってきます。
by 山雨 乃兎 (2008-12-16 14:12) 

・関連リンク  在宅障害者のひらきもり生活 

           晴耕雨読、僕は頑張らない!


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コメント

  1. ナムナム より:

    佐村河内 守(著)「交響曲第一番」
    初体験の衝撃と感動。
    まさに心服の極み。

  2. 山雨 乃兎 より:

    >ナムナムさん
    コメント有り難うございます。(書き込みが遅れて済みません)
    「交響曲第一番」をお聴きになったのですね。
    僕も一度聴いてみようと思います。

  3. 生井 より:

    筑紫哲也ニュース23で佐村河内守さんをしりました。
    本当に素晴らしい生き方をされている作曲家ですよね。
    最近では【現代のベートーヴェン佐村河内守】などと言われていますが、御本人には興味のないことでしょう。
    これから素晴らしい音楽とたくさんの生きる勇気を与え続けてほしいです。

  4. 山雨 乃兎 より:

    >生井さん
    コメント有り難うございます。佐村河内守さんは、努力と執念の人ですね。逆境のなかで、常時苦痛と格闘されながら楽曲をつくられる生き方には、敬服します。普通の人の苦労を遙かに超えた苦労をされているので、「自分などが生ぬるいことを言っていては駄目だなぁ」と、襟を正されます。
    また、お寄りくださいね。(^。^)

  5. 鶴見 より:

    佐村河内守の交響曲第一番は反戦の第九とも言うべき大作だな。
    この曲を機会に、現代音楽も良い転換期となってほしいな。
    本当に素晴らしい曲だと思う。

  6. 山雨 乃兎 より:

    >鶴見さん
    ご訪問有り難うございます。
    僕は、少ししか聴いていないのですが、組み上がった、単なる不協和音で短いかたまりの断片を集めたようなものでなく、現代音楽らしからぬ全体がまとまった交響曲でしたね。

  7. ラミ より:

    その現代音楽らしからぬところこそ最高なんだよな。
    《吹奏楽のための小品》みたいなのは俺は苦手だ!
    《交響曲第一番》は本当に素晴らしい!
    しかしどちらの曲も何のためらいもなく一人の佐村河内守という人間が書いていると思うと、やはり天才というのは現代にもあるのだな、と解らせてくれる。

  8. 山雨 乃兎 より:

    >ラミさん
    ご訪問有り難うございます。
    交響曲第一番は、不協和音をベースにしながらも旋律があり全体が物語りになっていますね。現代音楽そのものも作曲されているし、まさに佐村河内さんは天才ですね。

  9. 生井 より:

    大変ご無沙汰でした。生井です。
    ちょっとビッグニュースを手に入れたものですから久々に立ち寄ってみました。
    ずいぶん先の話なんですが、佐村河内守さんの交響曲第一番が全曲版で世界初演されます!
    来年、八月十四日に京都コンサートホールという所であります。
    演奏:京都市交響楽団 指揮:秋山和慶です。
    ようやく神の音楽に直接触れる時が来ました!!と早くも興奮状態ですw

  10. 山雨 乃兎 より:

    >生井さん
    ニュースを有り難うございます。京都でなんて、近くて佐村河内さんの演奏を生で聴くには、絶好の機会ですね。
    私は、持病の統合失調症の加減で、コンサートなどの空間に長い時間居づらいのですが、そのとき、調子が上向いていたら是非行ってみたいと思います。
    佐村河内さんご自身も体調のことがあられると思うので、全曲の公開演奏となると大分、ご熟慮の上に決断されたのだろうと思います。
    障害があっても活路を見いだす努力(もう、佐村河内さんは、世に認められていますが、そこまでの努力が大変だったと思い至ります)をしている人は美しいですね。
    コメント有り難うございました。

  11. 真美 より:

    )^o^(
    凄い情報ありがとうございます。
    佐村河内守さんの交響曲第一番、全曲演奏・・
    凄過ぎです。
    わたし九州だけど、今度こそ絶対に逃しません!!
    ありがとうございましたm(__)m

  12. 山雨 乃兎 より:

    >真美さん
    生井さんが、よくお越しになられるので、生井さんに感謝なさってくださいね。この場が、情報提供の場になれて嬉しいです。
    是非、コンサートに行かれてくださいね。
    また、私のブログへもお寄りくださいね。(^。^)

  13. 通天閣 より:

    キターーー(゚∀゚)ーーー!!!
    「いま、ヒロシマが聴こえる・・・」(関テレ)観ましたー!
    佐村河内守って初めて知ったわ(^-^;
    こない凄い人、目からウロコやん(((( ;゚д゚))))ガクガクブルブル
    めちゃ興奮して観ました!
    あかん!もう大ファンやw

  14. 山雨 乃兎 より:

    >通天閣さん
    自伝の感想という形でアップロードしましたが、これだけ沢山の方に来て頂いて感謝しています。
    佐村河内さん、ご自身が聾になられて体調が優れない中、崇高で胸を拍つ音楽を創られています。
    コメント有り難うございました。(^。^)

  15. 2014年、今年を振りかえる。

     どうせだから、今年あった出来事と、その頃、山雨はどうしていたのか、を綴ってみたい。 (参照、ウィキペディア『2014年の日本』): 1月初旬、定時制高校の同窓会。 司会を頼まれたので、乾杯までの素面でのスピーチが懸案だったのを覚えている。 履歴書を書いている。 やしきたかじんさんが、お亡くなりになった。(これは、相当ショックだった) 城之崎への旅行中、Bさんと喧嘩する。: 2月 作曲家佐村河内守が、交響曲「HIROSHIMA」などの楽曲の作曲を特定の他者に依頼してきたことを公表。 ショック! 尊敬してたのに。 拙ブログでも、書評として取り上げていた。→ 『交響曲第一番』読了 骨董屋に、店の様子を見に行く。: 3月 ヤフーショッピングに、ストアをつくる。 郵便配達の仕事に行こうと思って、持病の下痢をどう乗り切るか、を相談しに内科に行ったら、便に血が混じっていたとのことで、大腸カメラ検査。 癌化していたポリープを切除する。: 4月 消費税の税率が、5パーセントから8パーセントに上げられる。: 5月 出版しようかどうか、を、だいぶ悩んでいたようである。: 6月 7月2日- ネイチャー、STAP細胞に関する論文2本を撤回、細胞の実在に対する信憑性が揺らいでいる。 時の人、小保方晴子。 「あいうえおの歌」をYouTubeにアップロード。 ヤフーショッピング「pro出店」への移行の動き。(だいぶ大変だった): 7月 泥酔して舗道上で寝る。パトカーを呼ばれる。 出品代行預かり品が、高額で落札される。 ヤフーショッピング、ストア『Laughter(ラフター)』開店。 二作目の出版を決意する。: 8月 男同士の同窓会決行。 ホテルに泊まったり、海に行ったり。 笹井氏が自殺。 著者校正をはじめる。: 9月 9月3日 – 第2次安倍改造内閣が発足。 性病に罹患。 バイクのマフラーで火傷。 捻挫する。 拙サイトに、グーグルアドセンス広告を採用する。とくに、横長版を、ヘッダーに埋め込む。: 10月 10月7日 – ノーベル物理学賞受賞者に赤崎勇・天野浩・中村修二の3人が決定した。 : 新作を、『群像新人賞』に応募。投函する。 パソコン不調。 駄目もと企画『セブンスター宣伝契約』を、JTに打診。: 11月 薬局の感触がよくなくなる。 HIV検査に行く。 煙草を『ゴールデンバット』に変える。 11月28日 – 昭和を代表する映画俳優の菅原文…

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