竹村健一さんの『先見力 老いてこそ至福』を読みました。
例によって、感想は、追記をお待ちください。
追記・感想
『ルック・ルックこんにちは』の世相講談(名称が間違ってたらごめんなさい)や、日
曜朝の政治討論番組などの名司会ぶり、新奇な切り口による論評などが印象に残っている
竹村健一氏だが、氏も今年で八十歳を迎えられたという。
この本に書かれていたことを短く要約するとすれば、中高年以降、肩の力を抜いて、自
分の興味の向くことに邁進して人生を愉しもう、という50代以降の諸氏に向けたエール
だと言える。
60歳前後で定年を迎えるのだが、その後の人生も今や永い。没頭する趣味の一つもな
く家で嫁の家事を気を利かせて手伝うだけ、などとなったら、結局嫁にもうざったがられ
る。
時間もお金もある定年後の生活。
とくに、他人のために尽力する活動などをされてみては如何か、と。たとえば、NPO
などに登録して活動することなどだ。
また、ライフワークのようなことをされてはどうか。伊能忠敬は晩年になってから幕府
に働きかけて協力を得て全国地図を完成させたことなども紹介されて促さられる。実際の
氏の知りあいの例では、地方新聞(でなかったかも。詳細は本編を)に、ある事がきっか
けで記事を書くようになり、そのテーマに自らがとりつかれて長年に亘り同じテーマの記
事を担当されている人も居られる。
竹村氏は仰有る。「自分の好きなことをしてきたから」長く邁進できたのだと。
竹村氏の仕事は、評論、執筆、講演、テレビ出演と多く、しかも、一分野だけの評論を
される訳ではない。分野は多岐にわたる。評論家は、その道に詳しい人が多いが、竹村氏
は、ご自分ではどの分野にもそんなに精通している訳ではない、と仰有る。謂わば、ゼネ
ラリストなのだ。詳しい人から、その場で知識を引っ張ることによって、討論、評論がで
きあがっていく。
読んでいく内に、特に強く感じたのだが、若い内から英語を習得されていることが、色
んな人生の岐路や仕事そのものの場面で有利に作用している人生だと思った。
独学のピアノ、勉強(氏は勉強というとらえ方よりも、学習であるべきと仰有るが、一
応、意味を伝えやすいためにここでは勉強とする)して身につけた英語力、留学体験、講
師の資格を持つまでに研鑽を積まれたダンス、こういうものが、若い内の竹村氏にはあっ
た。そういう武器があることによって、ここぞというときに人生が拓けている。
それでも、何かを始めるのに、決して遅すぎるという事はない、と仰有る。
ソニー会長の盛田昭夫氏とは長年のご友人関係。その盛田氏に勧められる形でテニスを
始められたのは50代になってから。スキーもスキューバダイビングも、盛田氏であった
かどうかはちょっと忘れた(私が)が、ご友人の薦めで始められている。
何事も愉しんでやらないと長続きしない。と仰有る。テニスもスキーも、ウォーミング
アップをしないでいきなり打ち合いをする竹村式。
なぜ、50代以降にターゲットを絞って書かれているのかと云えば、丁度その頃から、
定年が見えてくる年だからだろう。管理職などのポストにまわって、同じ就労と云えども
身体の負担が楽になる。時間の拘束も減ってくる。
この時期に、定年後も活き活きと生活できるように、少しずつ何かを始めよう、と仰有
る。
再就職ということでもよい。
団塊の世代は、層が厚いので、しかも身体がタフなので、充分な働き手としてまだまだ
期待できる、と仰有っていた。
遊ぶから余計働く。しかし、無理な残業を会社のためと思ってするよりは、就業時間内
で仕事を終わらせて、趣味やライフワークの研鑽に充てよう、と。
竹村氏の場合は、若い頃、よく休日出勤をされたそうである。その理由は、平日に代休
が欲しかったから。映画館や娯楽施設やデパートも休日に行っては、人が多くてのんびり
とは楽しめない。だから敢えて、休日出勤して平日に代休をとる。休日の仕事は、会社へ
出ているのは自分だけで、しかもノルマのかかった仕事ではないので、読書をされていた
という。この例でも分かるように、竹村氏は、「人と同じことをするのが嫌い」。私もそ
うかな、と思った。さらに、「人の言うことは聞かない」。これは大事な考え方だと思う。
人から奨められるままにやって、成功したときはよいが、失敗したら「あいつが言ったか
らだ」と他人の所為にしてしまうからだ。
全編を紹介する訳でもないので、少し話題がずれるが、書かれていたことを紹介する。
「親友を持て」ということ。
竹村氏は、生涯の友と思える実に気の合う親友、何人かのおかげで自分が知らない世界
への見聞を広めることができた、と仰有る。
また、お茶のみ友達でもいいから異性の話し相手を持て(これは、この本じゃなかった
かもだが)、とも書かれていた。
幾つになっても異性に胸をときめかすことが出来るのが、若さ・やる気の素なのだ。
書評というほどには感想が体系的にまとまっていないが、これでペンを置くことにする。
読みやすい本で、どこかに得るところが必ずあると思うので、本編を読んでみてくださ
い。