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『心にしみる天才の逸話20』読了(追記あり)

 山田大隆(やまだ ひろたか)さんの著作、『心にしみる天才の逸話20』を読みました。


心にしみる天才の逸話20―天才科学者の人柄、生活、発想のエピソード (ブルーバックス)

心にしみる天才の逸話20―天才科学者の人柄、生活、発想のエピソード (ブルーバックス)

  • 作者: 山田 大隆
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/05/31
  • メディア: 新書

 例によって、感想は、追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

 科学や技術の分野で多大な功績を残した偉人たち。

 その偉人の一生を追い、エピソードも含めて紹介するこの本。

 

 感想として思うのは、目新しい発見や開発というものは、現代ではもう出尽くしている

ように感じられることが一つ。

 生涯を通して、大きな研究に没頭して、達成する偉人が多かった時代があったのだな、

と過去を振り返って思う、という点が二つ目。

 先日読んだ「はやぶさ式思考~」という本にもあったけれども、時間枠どおりに何でも

こなしていくということではなくて、結果が出るまで粘り続ける執念、というものを、ど

の研究者も持っていたのだな、と感慨に耽ったのが、三点目である。

 

 別個に思うこととして、非常に興味深かったのは、ガウスという人物の天才ぶりが

詳細に書かれていた点である。

 数学者、天文学者、物理学者になるガウスだが、幼少の頃から、その天才の片鱗

を見せていた。

 とんとん拍子に出世し、その後の人生も順風満帆。長生きもした。

 天才は往々にして短命であるが、こんな人もあるのだな、と驚かされた。

 十八歳で最小二乗法を発見するなど、まさに天才である。

 

 一つ面白い新事実(私にとって)を教えてくれたのは、発見や理論の構築といった分野

ではなく、技術の開発という分野の場合は、その技術が広範に行き渡り、且つ、産業の発

展に即戦力とならなければ、大きな開発をしたことにはならない、ということだった。

 いくら、新しい技術を開発しても、その技術によって社会が恩恵を受けなければ意味が

ないというのが、技術開発の分野の功績を計る考え方なのだ。

 

 偉人には、理解ある母が居る場合が多い。別に母に限らず、本人を後押しして道をつけ

てくれる理解者が必ずといっていいほど、偉人の人生には出現している。

 ノーベル賞というものが出来てからの初期には、欧米人の功績を優先するといった暗黙

の差別もあったようである。野口英世らも、そういう社会背景から辛酸を舐めている。

 

 ゲーテルのように、中途から躁鬱病を患って、躁状態のときに功績を残したというよう

な人間としては不完全な偉人も居る。エジソンは、眠るのが損だと考えていたようで、他

人を抜くには何倍も努力しなくてはならないと自らにむち打ったようである。ファラデー

は、小学校さえ出ていなかったのに、自ら学者に手紙を送るなどの交流をとり、努力して

成果を出すことによって、どんどん有力者に引き上げられていった。

 

 各項目、その偉人のこぼれ話も掲載されている。

 人間、誰しも不完全な人間性を持っている。そういう人として身近に感じるエピソード

も満載である。

 研究成果を横取りされたり、著名になったかつての教え子が頭角を顕せないように

奸計を施したりする場面も、出てくる。

 こういう話を聞くと、どの分野でも人間の心は同じようなものだと思う。

 野口の女好き、また、渡航用に譲渡してもらったお金を一気に全部つかってしまうと

ころなどは、野口も人間だと思わせる。

 また、それくらい愉しむことにも没頭できるからこそ、長期に亘る研究で成果を出せ

るのだとも言える。

 この本を読んだ感想とは限らないが、研究者は非常に粘り強い。或る意味執念深い。

 野口などのように、自らのアイデンティティを確立することが第一の目的で研究に没頭

する人もあれば、北里柴三郎のように、日本の国の環境を改善することに奉仕するという

公に奉仕する心が動機の第一である場合もある。

 粘り強い。結果が出るまで一歩も退かない。多くの研究者に共通の性格だと思う。

 それだからこそ、大きな成果に結びついたのだと思う。

 また、研究や思索が、義務的な苦痛だけではないのだろうと思う。我を忘れて没頭でき

る。すなわち、思考する長時間を愉しんでいるのだと言える。苦痛も勿論伴うが、同時に

仕事をすることが喜びでもある。それが天職というものではないだろうか。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター・スイートさん
    >ハマコウさん
    >xml_xslさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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