まあ、仮に、Oくん、Nくん、としておく。発音からもアルファベットはずれているので問題ないだろう。
Oくんとの出会いは、僕が二十歳そこそこの頃、平日に家でドラムを叩いていて、その音につられて来訪したので、
「僕も、ドラムをやりたいと思ってるねん」
ということで意気投合したのが最初。
実は、Oくん側からみれば、僕のことは中学時代から知っていたそうなのだが、僕には記憶がなかった。
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Nくんは、すぐ下の弟と高校時代同級生だったそうで、
「兄ちゃん、バンド組みたいんなら、紹介しょうかぁ」
と、弟に紹介されて、出会ってから、先輩のバンドで一緒にやった仲である。
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高校の頃にも仕事してたけど、卒業して最初の就職先で、免許もとりたてで自分の車が欲しかったのです。
就職先の三菱自動車販売の営業所の所長には、
「お前、あれ、乗れ。あれやったら小回り利くやろ。それに、お前まだへたくそマークやろ」
と言われて薦められたのが、三菱の、かなり古いミニカ。
ポンコツ。
完全なポンコツ。(サビだらけ)
(モテたい、と思とるのに、あんなのに乗れ、と言うのかいや)
と内心で所長に反発。
それで、中古車屋に行って、すぐに別のを買ってきちゃった。
それが、三菱ミラージュ1200GLという中古車。
そこそこ大きいし、格好いいし、所長が文句いっても、後の祭り(笑)
:
それで、Oくんと、Nくんに、
僕は、社会人になりたてだったので、中古車を買ったのが嬉しくて、
「車、買うてん」
と伝えたんです。
:
早速、仕事が終わってから見に来たOくんとNくん。
「ええ車やがい」
と、褒めます。
当時では珍しい、「パワーシフトとエコノミーシフト」に変換できる8段変則のギアもついていました。
:
「ちょっと、ドライブでも行こうかいや」
と、Oくんに促されて、
全員、僕の車に乗って、僕の運転で隣市の湖へ。
:
そこで、
「ちょっと運転さしてくれや」
と、Oくんが言うものですから、
「ああ、いいよ」
と、空き地で運転を代わったのですが、
僕を降ろすなり、いきなり急加速。
タイヤがスピンして発進、という加速です。
:
空き地を2周ほどして、僕の目の前に戻ってきたから、これで降りてくれるんだな、と思っていたら、
僕の目の前で、サイドブレーキを目一杯ひいて、アクセルを目一杯ふみこんで、ハンドルを思いっきり切って、
その場で、スピンターンをする。
ゴゴゴゴ! ズルズルズルズル!
キィーーーーー!
:
それをやったあと、降りて、僕に一言。
「ええ車やわ」
「阿呆か! なんどい! タイヤいかれてもたやないかーー!」
とホントは言いたかったんだけど、
OくんもNくんも、ワイルドな連中だったから、それが言えなかった。
ああ、情けない。今から思うと。
買って一日で、前輪(FFだから)が丸坊主になりました。
今だったら怒るけどね。当時は、体重が60キロもないガリガリだったし、気が小さかったしね。
:
その後、この車で、Kくんとドライブしたんです。
夜中よ。
母校多可高校まで、深夜にドライブです。
:
「いやあ、車、買うてん」
「ええ車やないですか~」
Kくんとは、お互いに丁寧語で話すような妙な関係でしたが、彼も、僕の車に興味津々でした。
途中で、たいこ弁当に寄って、缶ジュースを買って、それを飲みながら、母校に。
:
母校に着いても、誰もいないんですよ。
当たり前ですよね。夜中なんだから。
「オモロナイな、どうする」
「いや、ちょっと入ってみようか」
と、正門まで車で行ったら、正門も開いてる。
そのまま敷地内にはいって、中庭にまで車ではいってしまいました。
:
「どうしょう? これ、出られへんやん」
とKくん。
「ええやん、前進したら。……何でも、前進が大事やでェ」
とか、僕が、訳の分からないことを言って、中庭を突ききったのでした。
:
突ききると、ガリガリガリガリ、と音がします。
「しもた。階段があるんやった」
と言いながら、強行突破。
:
なんとか母校を出たのでした。
:
その後、車を流していると、Kくんが、
「なんか、変な臭いすんで?」
と言うんです。
たしかに、臭いのです。
それに、インジケーターランプが、一つ余分なのが点いているんです。
:
「しもた! サイド、引きっぱなしやった!」
もう、重大ミス。
たいこ弁当から、ずっとサイドブレーキを引きっぱなしなのでした。
そのせいで、その後、フットブレーキが効きにくくなりました。
:
可哀想なミラージュ1200。
最終的には、譲った弟が事故に遭って大破します。
初心者のうちは、こんなもんでしょうかね。(笑)
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