監督・石井裕也さん 原作・三浦しをんさん 脚本・渡辺謙作さん 出演・松田龍平さん 宮崎あおいさん オダギリジョーさん 黒木華さん他の、映画『舟を編む』を観ました。
例によって感想は、追記をお待ちください。
追記・感想
舞台は、大きな国語辞典(大渡海)を作る、玄武書房辞書編集部。
【ご注意 この記事は、ネタバレを含みます。】
国語辞典の大きなやつ。(既存の有名処では、『広辞苑』ですね)それを作る、玄武書房辞書編集部。
手がけているのは、『大渡海』という国語辞典です。
一生を捧げる仕事が、初めから有るというのは、有意義な人生ですね、と思いました。
大きな辞書をオリジナルで作り上げるのに、十数年から数十年かかるそうです。
国語辞典『大渡海』のコンセプトは、既存の国語辞典を踏襲しない。言葉の説明に既存辞書掲載文章をそのままは使わない。
現代語、新しく出てきた流行り言葉も、「正当な解釈ではない」という注釈を付けつつも、意味と共に収録・掲載する。
辞書編集部に居る対照的な二人
西岡くん(オダギリジョー)の感覚で普通だと思います。
辞書の編集って、結果が出るまでがかなり遅いので、モチベーションが続かなくて当然です。同じ社内のセフレのような彼女がいて、仕事には100パーセント全力投球はしない。とくに他の部署ではなく、辞書編集部だから身が入らないのも頷けます。チャラ男だが、営業に長けている。コミュニケーション力抜群です。
それに対して主人公、馬締(まじめ)くん(松田龍平)は、大学院で言語学を専攻していた堅物。自宅である「早雲荘」では、2つの部屋を間借りし、一室を書庫としているほど本好き。玄武書房の営業部に居たが、辞書編集部の荒木さん(小林薫)にヘッドハンティングされる。
そんな二人が、同じチームになって仕事をしていく内、馬締くんの熱心さに感化されて、西岡は、辞書作りに愛着を持つようになる。
『大渡海』監修の松本が、有能辞書編集者を見分けるために投げかけた質問
ところで、皆さんは、「右という言葉を説明してください」と問われたら、どう答えますか。
これは、『大渡海』監修の国語学者松本朋祐(加藤剛)が、荒木さんが早期退職した後に大渡海編集の松本の右腕になる新人をテストするために使った質問です。
つまり、辞書の中の「みぎ」という項目に、どう書くか、ということですね。
お箸を持つ側のこと、と答えても、座標がないので説明になっていません。それに、左手で箸を持つ人も居るし。
馬締くんの答えは、「西を向いたとき、北に当たる方」でした。
そうなんです。方位という座標を用いると的確に説明できます。
『大渡海』は、13年という歳月をかけて完成します。
完成・出版には間に合わず、監修の松本は亡くなってしまいます。
一緒に仕事をした期間が長いので、荒木さんや西岡くんや馬締くんにとってはショックですね。じっくり本編を観ていれば、ここで泣けると思います。
女は、真面目に仕事に打ち込んでいる男に惚れる
馬締くんは、早雲荘に入居してきた、早雲荘の大家さんの孫娘・林香具矢(宮崎あおい)に惚れて、結婚までに至るんですが、よくある男が話術で口説き落とすとかが交際の決め手ではなく、実直に仕事に打ち込んでいる姿に、香具矢が惚れたんでしょう。観ていてほのぼのしました。「良かったなァー、馬締くん」と思いました。
一切の妥協を許さない、辞書編集
校正は、何と五回!
辞書編集は、5校まで有るんですって。
これは、小説家と編集者がやりとりするゲラ稿と同様の原稿チェックのことでしょう。
僕は、第一ゲラ、第二ゲラ、念校、と3回やりとりしましたが、本編では、それが5回。 辞書編集部契約社員、佐々木薫さん(伊佐山ひろ子)が、新人辞書編集部員岸辺みどりさん(黒木華)に言った言葉が印象的です。
「岸辺さん、辞書に間違いがあったら、どうなるの?」(佐々木)
「辞書を信用しなくなります」(岸辺)
「でしょ?」(佐々木)
完成予定日には間に合わせる。しかし、懸念はチェックし直す。
後半では、いよいよ出版間近となったところで、原稿に記載漏れのワードがあった、と知り、校正作業を全部一旦ストップして、全編でのキーワード掲載漏れがないかを全員で徹夜でチェック。
印刷・製本の段階では、馬締は、紙質についても妥協しない。
プロ意識を感じました。
『舟を編む』というタイトルの由来
「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味でこの書名が付いている。【三浦しをん『舟を編む』について、ウィキペディアより引用】
じっくり腰を据えて、チームで大きな仕事をするって、やり甲斐があって楽しくてしんどくて、思い出にもなっていいなァ、と思いました。
もう、これは、ライフワークですね。
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