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角川いつか著 『成功する男はみな、非情である。』読了(追記あり)

 角川いつかさんの、『成功する男はみな、非情である。』を読みました。
 例によって感想は、追記をお待ちください。

   追記・感想

 まず、角川いつかさんは、どうやら改名されているようで、今は、柘いつか(つげ・いつか)と名乗っていらっしゃるらしい。
 また、この本の初版は2005年で、その後、2019年に電子書籍で増補版の、『続・成功する男はみな、非情である。』が発売されている。

 ともかく、気骨のある、海千山千を乗り越えてきた人だな、と思った。
 元々の仕事がコピーライター・プランナーで、本文内容から分かることは、恐らくライターの仕事もされているようで、中国マフィアの潜入ルポも敢行されている。チャイナクラブに深夜に寄ったとき、店がマフィアの襲撃を受け、命からがら逃げた、という過去があられます。店の経営者や日本人客が狙われたようで、殺されていたかもしれない修羅場をくぐられています。

 作家に成られた経緯も、普通とは違うように思いました。まあ、小説家ではないのですから、私が想像する成り方とは違って当然かもしれませんが、賞の受賞デビューではなくそれまでにやっていた仕事(雑誌などへのライティング)が評価され、しかも、「貴女は、作家になれる人です」と編集者に背中を押されて、編集者と二人三脚で単行本、初出版を果たしたという経緯です。

 本編内容にも出てきますが、女性であることを、最初のうちは利用するのもアリです。私も、それは首肯します。どんなに偉い人にでも、好かれれば接近でき懐に入ることが出来ます。ご自身も、最初は読者モデルをしておられます。

 さて、本編内容です。と言っても、全編は紹介しません。
 冒頭で、「非情」の意味が出てきます。辞書からの引用です。
【非情ーー人間として当然あるべき喜怒哀楽の情のないこと。特に、慈しみや思いやりの情のないこと。また、そのさま。】
 つまり、この本では、タイトルが示すとおり、成功する男はみな、情が無い、冷徹である、ということを述べているのです。

 少なくとも成功するまでは、成功の邪魔になる人間関係はすべて斬る。
 自分を俯瞰してみて、自分が成功までに辿る道のりを鳥瞰図として捉え、その「大きな絵図」から外れている人物とは縁を切る。同僚・恋人・友人・妻子であろうとも。
 これは首肯しました。私もシビアにならなければ、と思いました。

 どんな人にでも、汚い言葉は使わず、丁寧に接する。しかし、頭の中では、相手のことをどう思っていてもいい。
 これは、自分の評判にマイナスを作らない、ということでしょう。相手や公の場で悪口を言ったら、自分の評判が下がりますからね。

 理不尽なことを言う顧客を相手にしない。
 上位20パーセントの上質客に対して商売をする。
 理不尽な客に対応していたら、時間も潰れて労力の割に儲からなくなってしまう。

 本編全項に共通して流れているテーマは、「男の美学」。
 一流の男は、ストイックに生きる。享楽に浸からない。そう書かれていたかと思うと、「酒と女は癒しの手段」ともある。つまり、酒や女やギャンブルに没頭はしないが、息抜きとして嗜むということだ。それは、成功者が孤独だから。
「人の見極め方」「相手に貸しをつくる」「自己中心的であれ」「ずる賢くなる」など、興味深い項目が満載です。

 さいきん特に思うことと、本編内容が一致していたのですが、それは、自己犠牲精神で行動してはいけない、ということ。
 本当はやりたくない事を、相手の機嫌をとるためにやるのはナンセンス。
 もっと言うと、自己中心的でいい。自己中心的でなく相手に合わせるのは、相手に期待しているから。ともに相手の期待を裏切らないようにしよう、と思うから。
 自分で決めて動いて、行動して、失敗しても自分で尻を拭く覚悟があればいい。
 誰かに仕事を頼むのでも、失敗した最悪のときの対処法を考えておくこと。
 まさに一匹狼として生きる心構えだと思います。
 同時に、どんなに偉い人に対しても、フラットに接し、自分の駒として使う。義理や恩は忘れない。

 角川いつかさんは、20代半ばに各界の有力者30人にインタビューされた。そのノートが、この本の元になっている。
 有名な人たちだし、失礼があってはならないし、普通腰が引けますよね。
 堂々と正面からインタビューし、それによってご自身も浮上してこられた、角川いつかさんに、気骨を感じます。

コメント

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