万年筆 インク漏れと、その対処方法

   万年筆インク漏れ(イメージ)

 キャップのなかで、インクが噴き出ていたことはありませんか?

 いや~~、今季の冬(2023年12月~2024年3月)は、私自身、愛用の万年筆のインク漏れに悩まされた日々でした。
 夜中の1時か2時ごろに、いつものように執筆しようと筆箱から万年筆をとって、キャップを開けると、首軸にべっとりとインクがついているのですよ。

 原因がわからないまま、毎日、キャップを開けるたびに首軸をティッシュで拭き、キャップ内部を綿棒で拭う。
 自分で考えられる原因は、二つでした。
 振動か、温度差。
 同じ机に万年筆を置き、パソコン作業もしているので、キーボードを打つ振動が影響したのではないか、と。
 しかし、同じ机でのパソコン作業は、大昔からやっている。
 そこで考えられるのが、温度差でした。

 今季の冬は、エアコンの温度を最大で30度にまで上げて設定し、尚且つ、風の当たる向きを下にしていました。
 ちょうど万年筆を入れた筆箱に、温風が当たる状態をつくっていたのです。
 これが原因だと推測してから、エアコンの設定温度を下げました。
 そして、ちょうど季節が変わって、暖房をつかわなくなってきた頃から、万年筆のインクの噴きだしは無くなりました。
 以上が、私の体験です。

 この記事では、「万年筆のインク漏れ」を総合的に解説します。

 私の詳細プロフィールは、こちら→ 小説家・山雨乃兎

 インクが漏れる部位

・ニブ(ペン先)

・胴軸と首軸の接合部

・カートリッジ

・コンバーター

・(吸入式の場合)胴軸(タンク)のひび割れ部

・首軸とニブ(ペン先)の接合部

 インク漏れが起こる原因

 気圧の変化

 飛行機への搭乗などの場合、気圧が変化します。
 その際、インクがペン先から噴き出ることがあります。

 温度(気温)の変化

 冒頭でもお話しした通り、気温が上昇するとインク漏れが起こることがあります。
 気温差が原因です。
 冬に起こりやすいです。

 振動

 とくに鞄などに収納して、それを持ち歩くとき、鞄の振動によってインクが噴き出ることがあります。

 部位の破損

 カートリッジ、コンバーターの破損。
 吸入式の場合、タンクとなる胴軸にヒビが入っていたりすると、そこからインク漏れが起きます。

 すぐに対処する必要がないインク漏れと、今すぐ対処すべきインク漏れ

 すぐに対処すべきインク漏れ

 部位の破損によるインク漏れです。
 カートリッジやコンバーターの破損の場合は、新しい物に交換しましょう。
 吸入式での(タンクとしての)胴軸にヒビがある場合は、放っておいても直ることはありません。メーカーに修理に出しましょう。

 放っておいてもいいインク漏れ

 気圧の変化、気温の変化、振動によるインク漏れは、再度同じ状況にならない限り同じインク漏れは起こりません。環境を改善しましょう。
 応急処置として、首軸やキャップ内部に出たインクをティッシュや綿棒で拭いましょう。

 インク漏れの対処方法

   カートリッジ式万年筆の洗浄図

 割と珍しいケース

 首軸とニブの接合部からインク漏れしている場合は、メーカーに修理依頼しましょう。
 首軸とニブ(ペン先)が外れる個体もあるらしいのですが、国内メーカーのほとんどの万年筆は、首軸とニブを取り外すことを禁止しています。分解後、ふたたび組み立てても、最悪の場合書けなくなることもあります。この部分の分解は、分解を容認している個体に限られます。

 インクの通り道にインクが乾いて固まっていると、当然インクは出ません。
 逆に塊(かたまり)があることでインク漏れが起こっている場合もあります。
 両者の場合、洗浄をしましょう。
 カートリッジ式の場合は、首軸を水道水の(ゆるい)水流で洗って、そのあと瓶(ビン)に張った常温の水かぬるま湯に浸します。1~2時間程度浸けておくといいでしょう。
 吸入式・コンバーター式の場合、一度タンクやコンバーターに残ったインクを全部出し、ペン先を下にした状態でペン先を水に浸し、コンバーターの上部や尻軸をまわして、水を2~3回出し入れしましょう。

*万年筆洗浄について、詳しく解説したページ(外部サイト・メーカーサイト)は、こちら↓

                        万年筆のお手入れ方法(SAILOR)

 インク漏れに遭遇した場合

 部位の破損でない場合は、漏れているインクを拭えば、ふたたび使えます。

 部位の破損の場合は、部品(カートリッジ・コンバーター)の交換をします。
 胴軸のヒビ割れの場合は、メーカー修理に出しましょう。

 普段、気をつけるべきこと

 破損させない

 書くときに、ニブに力をかけすぎないようにしましょう。
 先端(ニブ)から落下させないようにしましょう。

 保管方法

 保管するときは、急激な温度差が起こらないところに(とくに高温にならないところに)、水平に保存。または、ニブ(ペン先)が上になる状態で保管しましょう。

 長期間使わないでいる場合は、インクを空にしてタンクと首軸を洗浄し、インクが空の状態で保管しましょう。

 持ち歩きの場合の注意点

 鞄に入れて持ち歩く場合を含め、振動がかからないようにしましょう。

 飛行機に持ち込む場合、インクを空にするかインクを満タンにしておきましょう。

 その他

 インクフロー(インクの出方)が悪くなったら、首軸を洗浄してみましょう。

 気温や気圧、振動の影響でないのにインク漏れが収まらない場合は、メーカー修理を依頼しましょう。

*万年筆の選び方を解説したページは、こちら→万年筆おすすめ品紹介(用途・思い入れによる)

 

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