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「またでいいよ」と言うマスター。

 昔、ジャズ喫茶に行っていたんですよね。
 
 かなり昔です。
 
 酒気帯び規制が、今ほど厳しくなるまえです。
 
 夕方や夜に寄って、さんざん飲んで、「じゃあ帰ります」と言って会計を払おうとすると、
 
「また、今度でいいよ」
 
 とマスターが毎回言うんですよね。
 
 こっちとしては、きちんと精算しておきたいから言うんですけど、
 
「今度でいい」
 
 と言うんです。
 
 それで、その店、おれが家出して生活基盤を変えてしまってから、また地元に戻ってきたんですけど、
 
その付けの金、一気には払えない状況になりまして、ずっと行っていません。
 
 マスターとしては、お金のことより、ずっと来てほしかったのでしょうね。
 
 新人賞がとれたら、出世払いの金を支払ってきます。
 

 私はこのブログで万年筆の魅力を綴ってきましたが、実は長年、その万年筆を相棒に物語を紡いできた小説家でもあります。

 インクが紙に染み込むように、人の心の奥底にある「光と影」をすくい上げたい——。そんな想いで書き上げたのが、私の代表作『閉鎖病棟』です。

 閉ざされた場所で交錯する、剥き出しの人間模様。 作家として「本当に面白い、価値のあるものを届けたい」という一心で、一文字ずつ丁寧に命を吹き込みました。

 万年筆を愛するあなたなら、きっとこの物語の「手触り」を感じていただけるはずです。

 画面を閉じる前に、ぜひ一度、私の本の世界を覗いてみてください。

ラフに語る、つれづれ記
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