最近、本を読むペースが非常に遅くなっています。
田中哲弥さんの、『猿駅/初恋』という本の内、短編の『猿駅』だけを読んだ状況ですが、感想を書きます。
母親と、何かの取り決めごとで会わなければならない。そんな状況で、主人公は、或る駅で母と待ち合わせします。
ところが、降り立った駅には、猿が一杯いるのです。
しかも、人間の姿を見かけません。
気になった(光っている)販売機に寄っていって買った飲料は猿の餌だったのです。
どうしても、歩いている内に猿を踏んでしまう。
その度に猿がへしゃげて血液やら体液が沫びます。
猿は、人間を避けないのです。
販売機のあった商店の商店主から話しかけられて、そうする内に、猿が実は、幻影もしくは単なる霊魂であることに主人公は気づきます。
猿用のドリンクを飲んでしまったから、猿を棍棒で叩くことの快感から離れられなくなった主人公。
最後は、叩いてはいけない人まで叩いてしまいます。
この作品は、テーマは重たい母親なのだろうか。重たい母親に対する反発や憎悪なのだろうか。
視覚的ディテールの説得力に感激しました。
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