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サンタクロースは、本当に居るのか

 サンタクロースは、実際に居るのである。

 とある国の、とある地方都市に住んでいて、毎年クリスマスの時季になると忙しくなる。

 普段は、工場に勤めている。

 ケーキを作る工場である。

 スーパーマンと同じで、普段の生活は冴えない。

 住宅ローンを抱えて、妻に給料が少ないことを責められている。その上、最近は糖尿病にかかり、今後のプレゼントの配達をこなす体力が維持できるかどうか心配である。

 一番上の子が十歳なので、あと五年は少なくともサンタクロースの業務を自身でつづけなければならない。

 毎年、子供たちに贈り物をしていたのだが、世界の人口が増えて久しいので、全戸には訪問できない。

 今のサンタクロースで35代目である。

 サンタクロースの家系というのがある。

 それは、決して公にはされない。

 全戸にはまわれないので、現在では、各家庭に、銀行振込で子供たちにプレゼントするためのお金がサンタクロースから振り込まれている。

 サンタクロースは、ハッカーと友達で、各家庭の口座情報を得ている。

 そうして得られた口座番号に、毎年、インターネットバンキングを使って、子供たちへのプレゼント用のお金が振り込まれるのである。

 プレゼント用の資金源は、アンダーグラウンドの『サンタクロース基金』だ。当座預金として、世界中の篤志家から集められたお金が蓄積されている。

 とある国でも、近頃は雪がふらなくなったので、サンタクロースはソリをタイヤ仕様に改造して運転手つきのエコカーに牽引してもらって、プレゼントの配達をしている。

 十三歳未満の子供には無条件にプレゼントが贈られる。

 よい子でもわるい子でも、それは関係ない。

 耳をすましてごらん。

 今年も、ソリのタイヤの音が聞こえてくる。

 よーく、耳を澄ますことだ。エコカーは音がほとんど出ないのだから。

コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター・スイートさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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