今の時代、接客は大変だろうなァ、と思う。

 言っていいクレーム、言うべきクレームがある。

 それ以外に、客の立場に胡座を掻いて、理不尽な要求を言うクレームもある。

 病院、学校、スーパーマーケット、などは、現代では接客が大変だろうな、と思う。

 

 病院では、医者は、先生なのだし、学校でも教師は、先生なのだし、聖職者として一目置かれるべきなのに、患者はお客さんとなり、親は対等以上の物言いをするようになってしまった。

 お店も、あまり理不尽な要求を、そのまま受け入れる必要はない。

 それと、逆に、感じの悪い店員というのも居るし、客に説教する飲食店なんかもある。

 僕は、そんな店には、絶対いかないけどね。

 

 以前に、この内容は書いたかもしれないが、もう一度、接客でのエピソードを書く。

 ガソリンスタンドで働いていたんですよ。

 活気のある、動作のきびきびしたのが売りのスタンドでした。

「いらっしゃーーい!」

「いらっしゃいませ。レギュラー満タンですね!?」

 一台の車に、一人は、接客・給油に、もう一人は、すぐ窓を拭きはじめる。

 

 それで、社長の方針が、ちょっと変わったりするんですよね。

「山雨くん。『シエットGP1満タンですね?』と、言いよ。レギュラーとか、そんなこと言わんと。それに、『満タンですか?』はアカン。『満タンですか?』いうて訊かれたら、『いや、今回は10リットルで』とか言われるやろ。『満タンですね』でエエ。どっちしよーか思とったお客さんも、満タンでエエ、いう気になるやろ」

 とか言われたこともあります。

 シエットGP1とは、共同石油のハイオクガソリンの商標名です。

 

 概ね明るく、お客さんも明るく、ほのぼのとした雰囲気で接客してました。

 が、

 困ったお客さんも、来られました。

 

 凄い大きなエンジン音。

 車を誘導する間もなく、勝手に、給油ポジションに、凄いスピードではいってきて停車。

 ダッシュボードは、ちんちら装着してあり、横と後ろのウインドウには、スモークが貼られてあるセダンかクーペでした。

 運転手は、エンジンを切って、

「満タン」

「済みません。カードはお持ちですか」

「カードてなんじゃい!? 入れたらエエんやろが、はよ入れや!」

 とサングラスをかけたまま、それに凄いがたいです。それに、派手な背広姿。

 女子アルバイトが、僕の横に居たのですが、「アンタ、ちょっと退いとり」と小さな声で言って、後ろへ退かせました。

「あの、そしたら、現金ということですね」

「ごちゃごちゃ言わんと入れたらエエんやがい。こっちは満タン言うとんねんから」

 こうなると、どう接客したらよいのか分からない。

 

【加筆】最初に、クレジット決済か、現金カードか、カードなしの現金給油か、という判断ができないと、ノズルのレバーを握る動作まで行けないのです。システム的に。(困ったものです)

 

 このときは、様子を見ていた社長が、後ろから来てくれました。

「お客さん、ウチでは、現金の場合でも、カードをつくってもらって入れてもらうようにしてるんです。その方がお安くなりますのでね。それで、カードって、最初に訊くんですわ」

「なんや、そういうことかい。始めから、そない言えよ」

 と、急に物腰が柔らかくなりました。

 年の功ですね。

 若いアルバイトは、舐められるものです。

 

 今の時代でも、お店には、強面の人も来るわけですね。

 接客は大変ですね。

 でも、楽しい部分が多いですけどね。


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