映画『物置のピアノ』を観ました。
桑折町(こおりまち)(福島県)が舞台。
お爺さんが桃農園をやっていて、孫は三人。女・女・男。
末っ子が、川で溺れて死んでしまいます。
お爺さんと長女と次女が、ちょっと目を離した隙に。
そのことが、三人にとっては、大きなトラウマになっている。
震災が起こるのは、その後のことですが。
舞台は、震災から一年経った頃の話。
農産物に風評被害が出ていて、それで買い渋られる様子が、心痛を見事に表していました。
僕が思うに、その頃としては、風評と決めつけられないとも言えると思うのですが、農家にとっては死活問題ですね。
長女も次女も、幼い頃からピアノを習っていて、弟の死後すぐのコンクールで、姉は、銀賞、次女は、金賞という結果になってしまいます。
それが悔しくてピアノをやめた長女。
社交的で美人な長女と、ピアノの才能では優っている次女の間に、確執、いや、心の葛藤があります。
姉がピアノをやらなくなったので、物置に収納されたピアノ。それを、主人公の次女は毎日弾きます。
福島の放射能の影響が大きかったところから転校してきた男の子との親睦。
その男の子の父親の就職問題。
大きなテーマと日常のテーマが、同時に描かれているところが、リアリティーがあってよかった。
お爺さんの煙草の不始末で焼けてしまった物置。ピアノも音が出なくなります。
ここが、一つの山場です。
大切な物を失ってしまった。弟も応援してくれていたピアノの音が出ない。それは、完全なる弟との別れを表しています。
桑折町の人々を励ますために開かれたコンサート(主人公が所属する吹奏楽部)で、最後は、予定にない『故郷(ふるさと)』を演奏する。
やっぱり、誰もが聴きたいのは、単純な心温まるメロディーなんだな、と思いました。
ストーリー展開が、序盤は遅いけど、最後には、ホロッときました。
是非、観てみてくださいね。
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