喜多川秦さんの、『運転者』を読みました。
例によって、感想は追記をお待ちください。
追記・感想
運を転ずる人。つまり運を転ずるお手伝いをする人、という意味で作中で主人公が呼んだ名が「運転者」ということ。
業績不振の保険外交員が、タクシーに乗るところから物語りは始まる。
運の原理は、ポイントカードと同じだと運転手は言う。
上機嫌で誰よりも頑張っていれば、後にポイントが返ってくる、と。それから他人に対してもいいことを釣り合わないくらいしていると、それも運として返ってくる、と。
運転手が、運が好転するところに無料で行ってくれるのは、実は、実父がタクシーのポイントを残しておいてくれたからだと知る。
親子三代の生命、慈愛が物語りの主軸になっている。
職業の説明が実によくできていた。
構成の発想力には、頭が下がる。